2025年1月09日


「PFASが身体に悪いって聞きました。」

「PFASが癌の原因になったりしますか?」

「PFASが原因で潰瘍性大腸炎になるってホントですか?」

そんな質問をよく頂きますのでこの記事で解説していきます。

目次
1. PFASと潰瘍性大腸炎の関係

ペルフルオロアルキル化合物(PFAS)は、日用品から環境に広く存在する化学物質群です。最近の研究によると、PFASは潰瘍性大腸炎との関係が指摘されています1)。

1.1. PFASが人体に及ぼすリスク
PFASは、耐熱性や耐水性が高く、多くの製品に利用されています。その一方で、人体への影響が懸念されています。研究によると、腎臓癌や精巣癌、乳癌、前立腺癌などの発癌リスクがあります。

また、動物実験では、PFASが腸内のバリア機能を損なうことが確認されています。腸内環境の悪化が潰瘍性大腸炎の症状を悪化させることが示されています。このため、PFAS曝露が病気の発症リスクを高める可能性があります。

1.2. 化学物質としてのPFASの特性
PFASは、独自の化学特性を持つ一群の化合物です。これらは炭素とフッ素の結合が強く、水や油をはじく性質があります。この特性により、フライパンのコーティングや防水加工された衣類などに利用されます。それだけでなく、工業用の消火剤や洗浄剤にも使用されているのです。

しかし、その反面、PFASは分解されにくいという欠点があります。環境中に長期間残りやすいため、「永遠の化学物質」とも呼ばれています。これが環境汚染の一因となり、最終的には食品や飲料水にまで影響を及ぼすことが懸念されています。
1.3. PFASが腸内環境に与える影響
PFASの影響は、腸内環境にも及びます。腸内フローラが乱れることで、消化器系の健康に悪影響が出ることが知られています。研究によれば、PFASは腸内細菌のバランスを崩し、有害な菌の増殖を促進する可能性があります。その結果、腸のバリア機能が低下し、炎症が発生しやすくなります。

さらに、腸内のバリア機能が低下すると、細菌や毒素が体内に侵入しやすくなります。これが潰瘍性大腸炎の発症メカニズムと関連していると考えられます。



2. PFASとは何か

PFAS(ピーファス)は、その強力な耐水性や耐油性のために、さまざまな製品や工業製品に使われてきました。しかし、環境や人体に対する影響も大きく、現在ではその安全性が問題視されています。

2.1. PFASの定義と種類
PFASは、炭素-フッ素結合を有する化学物質の総称です。これには、数千種類もの化合物が含まれています。代表的なものには、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)やPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)などがあります。これらの物質は、その耐水性や耐油性のために、多くの産業で利用されてきました。例えば、リチャージブルバッテリーや半導体の製造過程でも使用されています。
2.2. PFASが含まれる製品
PFASは、日常生活の多くの製品に含まれています。たとえば、調理器具のコーティングに使用されるテフロン製品や、防水・撥水加工が施された衣類、カーペットなどがあります。また、ファーストフードの食品包装や防火衣、さらには一部の化粧品にも使われることがあります。その広範な使用は、私たちの日常生活においてもPFASに触れる機会を増やしているのです。
2.3. PFASの環境への影響
PFASは環境に長期間残留し、蓄積する性質を持っています。この特性は環境中の土壌や水源に影響を及ぼします。特に地下水の汚染が問題となっています。その結果、動植物にも影響を及ぼし、食物連鎖を通じて人間にも悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、従来の処理方法では除去が困難であり、新しい対策が求められています。



3. 潰瘍性大腸炎の基礎知識

潰瘍性大腸炎は、主に大腸の粘膜に炎症が起きる慢性の病気です。この病気は、腹痛や下痢、血便などの症状を引き起こします。日本でも患者数は増加しております。

3.1. 潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎は、大腸の内側に炎症が発生し、潰瘍が形成される自己免疫性の病気です。この病気は、主に若い成人に発症しやすく、症状は一時的であるか、または慢性的になります。具体的な原因はまだ完全に解明されていませんが、遺伝的要因と環境要因が組み合わさって引き起こされると考えられます。症状には、腹痛、下痢、血便、体重減少、疲労感などがあり、早期発見と治療が必要です。

3.2. 潰瘍性大腸炎の発症メカニズム
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜が自身の免疫系によって攻撃されることにより発症します。具体的には、腸内細菌や食事、環境要因が要因となり、免疫システムが過剰に反応してしまうことが考えられます。また、遺伝的要因もこの病気に大きく関与しています。家族に同じ病気の人がいる場合、そのリスクは高まります。

発症メカニズムを理解することで、治療法の開発や症状の予防にもつながります。現在、潰瘍性大腸炎の根本的な治療法はありませんが、薬物療法や生活習慣の改善により症状を管理することが可能です。将来的には、より効果的な治療法が見つかることが期待されています。
3.3. 潰瘍性大腸炎の症状
潰瘍性大腸炎の症状は、一人ひとり異なりますが、いくつかの共通する特徴があります。最も多い症状の一つに、腹痛があります。これは、大腸の炎症が原因で、通常は下腹部に感じることが多いです。また、下痢も一般的な症状です。特に、血便を伴うこともあり、これが潰瘍性大腸炎の診断の手がかりとなります。

潰瘍性大腸炎は、症状の程度によって治療方法が異なります。軽度の場合は、薬物療法で症状を抑えることが可能です。しかし、重度になると合併症のリスクも高まり、手術が必要になることもあります。医師との適切な相談が重要です。



4. 潰瘍性大腸炎の診断方法

潰瘍性大腸炎の診断は、問診や血液検査、便検査、そして大腸カメラを使用して実際の大腸内の状態を直接観察し、確定診断を行います。

4.1. 血便・粘血便などの症状チェック
潰瘍性大腸炎の初期兆候として、血便や粘血便、下痢が見られることが多いです。これらの症状が現れた場合、速やかに医師へ相談することが重要になります。血便や粘血便が続くと、貧血や体重減少を引き起こすことがあります。そして、症状が進行する前に早期に発見し治療を始めることが、病状の悪化を防ぐために必要です。
4.2. 大腸カメラの重要性
潰瘍性大腸炎の確定診断には、大腸カメラが非常に重要な役割を果たします。大腸カメラを使用することで、大腸の内壁を直接観察し、炎症や潰瘍の有無を確認することができます。さらに、必要に応じて組織を採取し、より詳細な検査を行うことも可能です。
4.3. 札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックでの検査内容
札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックでは、潰瘍性大腸炎の診断のための大腸内視鏡検査を行っています。大腸カメラを使用して詳細な観察を行い、炎症や潰瘍の程度を評価します。当院では、最新の内視鏡機器を使用しており、患者様の負担を最小限に抑えた検査が可能です。診断後は、適切な治療計画が立てられ、患者様の生活の質を向上させるためのサポートが提供されます。

当院で内視鏡検査をご希望の方は以下のリンクからご予約ください。

5. 潰瘍性大腸炎の治療法

潰瘍性大腸炎は、大腸の内側に炎症や潰瘍が生じる、慢性的な疾患です。この病気の治療には、内視鏡を用いた治療や薬物療法、そして食事療法が重要な位置を占めます。

5.1. 薬物療法とその効果
薬物療法は、潰瘍性大腸炎の治療において非常に重要な役割を果たす方法です。主に、抗炎症薬や免疫抑制薬などが使用されます。これらの薬物は、症状の緩和や炎症の抑制に効果的です。例えば、5-ASA製剤やステロイド薬は急性の発作を抑える効果があります。長期的な管理には、免疫抑制薬や生物学的製剤も使用されます。しかし、薬物療法には副作用のリスクも伴います。定期的な医師の指導とフォローが不可欠です。患者様の状態や治療の進行に応じて、適切な薬剤を選択することが大切です。
5.3. 食事療法とそのポイント
食事療法は、潰瘍性大腸炎の治療において補助的な役割を果たします。適切な食事を選ぶことで、症状の緩和や生活の質向上に寄与します。基本としては、低残渣食や低脂肪食が推奨されます。これにより、消化器への負担を軽減することができます。また、アレルギーの原因となる食品は避けるべきです。食事療法は、個々の患者様の状態や症状に合わせて調整することが求められます。定期的な栄養士の指導を受けることもおすすめです。



6. 潰瘍性大腸炎の予防策

潰瘍性大腸炎を予防するには、日常の食生活と生活習慣の見直しが重要です。特にバランスの取れた食事と適度な運動が健康維持の鍵です。さらに、ストレス管理も不可欠です。

6.1. 食生活の改善
食生活の改善は潰瘍性大腸炎の予防に効果的です。特にファイバーの豊富な野菜や果物を積極的に摂ることが大切です。これにより、腸内環境が整えられます。また、脂肪分やカフェインを控えめにすることで、腸への負担を軽減することができるのです。

加工食品やファストフードの摂取を控えることも重要です。これらの食品は添加物や保存料が多く含まれ、腸内環境に悪影響を与えることがあります。さらに、アルコールの摂取を控え、適度な水分補給を心がけることも効果的です。

栄養バランスを考えた食事を心がけることで、健康的な腸内環境が整えられ、潰瘍性大腸炎の発症を予防することができます。このように、食生活の見直しは予防策の一環として非常に重要です。
6.2. 生活習慣の見直し
生活習慣の見直しも潰瘍性大腸炎の予防には欠かせません。まず、規則正しい生活リズムを維持することが重要です。このため、毎日同じ時間に起床し、食事を摂ることが望ましいです。また、十分な睡眠を確保することで、体の免疫力を高めることができます。

さらに、アルコール摂取も控えることをおすすめします。飲酒は腸に悪影響を与え、潰瘍性大腸炎のリスクを高める原因となるからです。

生活習慣を見直すことで、腸内環境が整えられ、潰瘍性大腸炎の予防につながります。適度な運動を取り入れることも効果的です。これにより、新陳代謝が活発になるので健康維持が容易になります。
6.3. ストレス管理と運動
ストレスの管理と適度な運動も、潰瘍性大腸炎の予防において非常に重要です。ストレスは体に多大な負担をかけ、腸内環境にも悪影響を与えることがあります。そのため、リラクゼーションや深呼吸、瞑想などを取り入れて、日常的にストレスを解消することが必要です。

運動も潰瘍性大腸炎の予防に有効です。特にウォーキングやヨガなどの軽い運動は、腸の働きを促進する効果があります。さらに、定期的に体を動かすことで、全身の血液循環が良くなり、免疫力も向上します。

ストレス管理と適度な運動を生活に取り入れることで、潰瘍性大腸炎のリスクを減少させることが可能です。日常生活の中でこれらを意識することで、健康を維持しやすくなるでしょう。



7. 潰瘍性大腸炎のリスク要因

潰瘍性大腸炎は、腸の内側に炎症が起こることで発生する病気です。リスク要因には、遺伝的要因、環境因子、生活習慣が含まれます。

7.1. 遺伝的要因
潰瘍性大腸炎は、遺伝的要因に関連が深いです。家族に潰瘍性大腸炎の患者様がいる場合、発症リスクが高まります。特に、一卵性双生児において、相手が潰瘍性大腸炎を持つ場合、もう一人も発症する確率が高くなることが報告されています。同じ家系で複数の患者様が見られることも少なくありません。さらに、遺伝子の特定の変異が潰瘍性大腸炎の発症に関与していることも科学的に示されています。
7.2. 環境要因としてのPFAS
環境要因として注目されているのが、PFAS(ペルフルオロアルキル化合物)です。これらは、耐油性や防水性を持つ製品に広く使われていますが、環境中に長期間残留するのが特徴です。PFASは体内に蓄積すると、免疫系に悪影響を与えることが知られています。そのため、潰瘍性大腸炎の発症リスクを高める一因として考えられています。水道水や食物による摂取が一般的ですので、日常生活での注意が必要です。
7.3. 生活習慣による影響
生活習慣も潰瘍性大腸炎の発症に影響を与えます。不規則な食事やストレス、飲酒などがリスク要因になりえます。特に、過度なストレスは腸内環境を悪化させ、免疫機能を低下させる原因になります。さらに、食品添加物や高脂肪食も腸に悪影響を及ぼします。健康的な生活習慣を心がけることが、潰瘍性大腸炎の予防には大切です。日常的な運動やバランスのとれた食事も重要です。




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