2025年5月06日

札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニック院長の福田遼です。

大腸がんの検査についてお話しする際に、「先生方は便潜血検査しないってホントなんですか?」というご質問をいただくことがあります。

質問の通りで、実は我々消化器内科医は基本的に便潜血検査を行う人は殆どおりません。

多くの消化器内科医は大腸検査をする際には大腸カメラのみを行う場合が多いです。

なぜなら、便潜血検査はあくまでスクリーニングの検査であり、大腸癌の早期発見や予防をするためには大腸カメラ検査が必要だからです。

目次
便潜血検査の「限界」と医者が「しない」と言われる理由

便潜血検査は、あくまで「便に血液が混じっているか」を見る検査です。

病変そのもの、つまり大腸の粘膜の状態を直接見ているわけではありません。

出血がない病変は見つからない:
早期の大腸がんや小さな大腸ポリープは、必ずしも常に出血しているわけではありません。たまたま検査のタイミングで出血していなければ、便潜血検査は「陰性」となります。

出血源が特定できない:
便潜血検査で陽性となっても、その血液が大腸のどこから出ているのかは分かりません。痔による出血でも陽性となりますし、大腸の炎症などが原因でも陽性になることがあります。また、痔による出血だと思って放置していたら、実は大腸がんも隠れていた、という事例もあります。

大腸癌の早期発見や予防をするためには大腸カメラ検査が必要
便潜血検査では進行癌を検出する感度は高いですが、早期癌や大腸ポリープを検出する感度は高くなく、大腸癌の早期発見や予防のためには結局大腸カメラが必要になります。

これらの限界を医療のプロフェッショナルである医師は熟知しています。便潜血検査はあくまで「スクリーニング(ふるい分け)」であり、病気の有無を確定診断する検査ではないのです。

もし、ご自身の身体に何か異常がある可能性があるなら、あるいは早期の病変を確実に発見したいと考えるなら、どうするでしょうか?

出血の有無という間接的な情報ではなく、病変そのものを直接見て、必要であれば組織を採取し、その場で治療(ポリープ切除)もできる、より確実な検査を選ぶ方が、当然の流れと言えるでしょう。

便潜血検査は手軽で有用な検査ですが、それで陰性だったとしても「大腸がんではない」と断定はできません。そして、もし陽性だったら、結局大腸内視鏡検査が必要になります。



便潜血検査:手軽なスクリーニング検査としての役割

便潜血検査とは、便の中に肉眼では見えない微量の血液が混じっているかどうかを調べる検査です。

これは、大腸がん検診の初期検査として、広く普及している検査方法です。

日本の便潜血検査の主流は「免疫法」という方法です。この方法では、ヒトの赤血球に含まれるヘモグロビンというタンパク質に特異的に反応する試薬を使うため、肉や野菜に含まれる成分には反応せず、検査前の食事制限は特に必要ありません。

厚生労働省は、大腸がん検診として40歳以上の方には年1回の便潜血検査を推奨しています。特に50歳以上では強く推奨されており、これは40歳頃から大腸がんの死亡率と罹患率が増加し、50歳以上で急増するためです。

便潜血検査は、「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン」においても、「一定の集団の大腸がんによる死亡率を減少させる」という科学的根拠があるとされており、推奨グレードA(強く推奨)とされています。

つまり、便潜血検査は、大腸がんを見つけるための「スクリーニング検査」としては非常に有用なのです。多くの人が自覚症状がない中で、便潜血検査で陽性となることで、病気の可能性に気づき、精密検査を受けるきっかけとなります。



圧倒的な優位性:大腸内視鏡検査

では、大腸内視鏡検査とはどのような検査なのでしょうか。

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は、肛門から内視鏡という細長いカメラを挿入し、大腸の内部(粘膜)を医師が直接目で見て観察する検査です。

大腸内視鏡検査の最大のメリットは、大腸の粘膜の状態を隅々まで直接観察できることです。これにより、以下のようなことが可能になります。

確定診断:
疑わしい病変が見つかった場合、その場で組織の一部を採取する「生検」を行うことができます。採取した組織を病理検査にかけることで、それが良性か悪性か、どのような種類の病変なのかを確定診断できます。

ポリープの切除(治療と予防):
大腸カメラ検査中にポリープが見つかった場合、その場で切除することが可能です。特に、将来的にがんになる可能性のある腺腫性ポリープを切除することは、大腸がんの予防に直接つながります。

大腸がん以外の疾患の発見:
大腸カメラ検査は、大腸がんだけでなく、大腸ポリープ(腺腫、SSLなど)、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)、大腸憩室症、虚血性腸炎、痔など、様々な大腸の病気を見つけるのに役立ちます。血便の原因が痔だと思っていたら、別の病気だったというケースも少なくありません。

もちろん、内視鏡検査にも合併症のリスクはゼロではありませんが、極めて稀であり、適切な施設で経験豊富な専門医が実施すれば、そのリスクは限りなく低く抑えられます。逆に、医師の技量や経験によって検査の精度に差が出ることも事実です。だからこそ、信頼できる専門医と施設を選ぶことが重要になります。



当院だからこそ提供できる「安心」と「質」

当院は、快適かつ質の高い内視鏡検査を提供することに専門特化しています。

苦痛の少ない検査:
「大腸カメラは痛いのではないか?」という心配をなくすため、当院では鎮静剤を用いた「無痛大腸カメラ検査」を提供しております。鎮静剤を使用することで、ほとんど眠ったような状態で検査を受けられ、検査による苦痛や不快感を大幅に軽減することが可能です。

経験豊富な消化器内視鏡専門医が、患者様一人ひとりの状態に合わせて鎮静剤の量を調整し、安全に配慮した上で丁寧に検査を行います。検査後はリカバリールームでゆっくりお休みいただけます。

女性スタッフによるサポート:
検査前の説明や準備、検査中の介助など、女性スタッフが細やかにサポートいたします。生理に関することや、ムダ毛処理など、男性医師には聞きにくいお悩みも、女性スタッフに気兼ねなくご相談いただけます。

恥ずかしくない検査着:
検査時は、お尻の部分にスリットが入った専用の検査着(穴あきパンツ)を使用します。立っている時はお尻がすっぽり覆われ、検査中も必要最低限の露出になるよう配慮しており、ほとんどお尻を見られる心配はありません。

生理中でも検査可能:
生理になった場合でも、子宮や膣と大腸は別の臓器ですので、大腸カメラ検査は問題なく行うことができます。タンポンやナプキンの使用も可能です。体調がすぐれない場合は延期もできますので、ご相談ください。

検査前準備の負担軽減:
大腸カメラ検査の準備で、下剤を飲むことが一番辛いと感じる方もいらっしゃいます。また、検査前日の食事制限も気になりますね。

下剤の飲み方の工夫:
下剤の味や量、飲むタイミング、ラクに飲むコツについても丁寧にご説明します。モビプレップ、ニフレック、マグコロールP、サルプレップなど、下剤にはいくつかの種類があります。

院内での下剤準備も可能:
ご自宅での下剤服用が不安な方や、洗浄がうまくいかない場合は、院内で下剤を服用したり、下剤を直接注入する「下剤注入法」を選択することも可能です(事前診察が必要です)。

胃カメラと大腸カメラの同日検査:
事前診察で可能と判断されれば、胃カメラと大腸カメラを同じ日に受けることができます。検査前の食事制限や時間の拘束を1日で済ませられるため、お仕事などで忙しい方にとっては大きなメリットです。

抜群のアクセス:
当院は、札幌市営地下鉄大通駅14Bまたは15番出口から徒歩30秒という非常に便利な場所にあります。お仕事の合間や、お買い物のついでにも立ち寄りやすく、雨や雪の日でもほとんど濡れることなくご来院いただけます。



結論:ご自身の身体のために、最適な検査を選びましょう

便潜血検査は、手軽で有用なスクリーニング検査ですが限界があることも事実です。

一方、大腸内視鏡検査は、大腸の病気を早期に発見し、確定診断を行い、そして将来のがんを予防するためのポリープ切除までを可能にする、最も確実で精密な検査です。医療のプロフェッショナルが「確実性」を求める際に、内視鏡検査を選択肢の上位に置くのは自然なことと言えるでしょう。

特に、40歳を過ぎた方、ご家族に大腸がんや大腸ポリープの既往がある方、健康診断の便潜血検査で陽性になった方、血便 や便秘、腹痛 など気になる症状がある方には、迷わず大腸内視鏡検査をご検討いただくことを強くお勧めします。女性にとっても、大腸がんは重要な健康課題です。

定期的に検査を受けることは、ご自身の健康を長く保ち、そして大切なご家族に心配をかけないための、未来への投資です。

もし、大腸がんの検査についてご不安なことや、疑問点がありましたら、どんな小さなことでも構いませんので、ぜひ一度ご相談ください。消化器内視鏡専門医として、皆様の疑問に丁寧にお答えし、最適な検査や治療法をご提案させていただきます。

皆様の健康な毎日を、心から応援しております。お気軽にご連絡ください。


大腸内視鏡検査は札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックがおすすめです!


