2025年4月27日

皆様、こんにちは。札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックの院長、福田遼と申します。

健康診断やテレビの健康情報などで、「大腸がん」という言葉を耳にする機会が増えているかと思います。「もし自分自身や大切な家族が大腸がんになったら…」と、漠然とした不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そんな中、患者様から時々「大腸癌って、いったい何色をしているんですか?」というご質問をいただくことがあります。おそらく、目に見える「色」として捉えることで、病気の実態を少しでも具体的に理解したい、というお気持ちの表れだと思います。

その際に『やっぱり癌って黒いんですか?』と聞かれる事が多いですが、大腸癌の場合、内視鏡の画像上は赤く見えたり、白っぽくみえるケースが多いです。

大腸癌は血管が豊富であったり、血が滲んでいたり、壊死組織が表面上にあったりすることが多いためこのように見えるようです。



目次
大腸がんを知る上で気になる「色」のお話

大腸がん自体の色は上記の通りですが、がんの存在を示唆する「便の色」があります。

1. 便に混じる「血の色」
血便は、大腸がんの重要なサインの一つです。ただし、血便の色や状態によって、出血源がある程度推測できます。

鮮血便:
トイレットペーパーに鮮やかな赤い血が付着したり、便の表面に鮮血が付着したり、排便時にポタポタと血が落ちたりする場合です。これは、比較的肛門に近い場所、つまり直腸やS状結腸などからの出血であることが多いです。

原因として最も多いのは痔ですが、直腸やS状結腸の大腸がんや大腸ポリープ、あるいは虚血性腸炎 や憩室出血 などが原因で鮮血便が出ることもあります。

黒色便(タール便):
墨汁のような真っ黒で粘り気のある便です。これは、胃や十二指腸など、比較的お腹の上のほうにある消化管からの出血が、消化液と混ざって黒く変色しながら大腸を通過した結果です。胃がん や胃潰瘍 など、上部消化管の病気が原因として考えられます。

便に血が混じることは、身体からの重要なSOS信号です。一度きりだからと放置してしまうと、病期が進行し手遅れになるケースも考えられます。

特に、大腸がんなどの重篤な疾患の場合、症状が一時的に消失することもありますが、根本的な治療がなされていなければ再発の可能性も高いです。血便が見られた際には、原因を正確に把握し、早期に医療機関を受診することが絶対に必要です。



2. 内視鏡で見たときの所見

大腸内視鏡検査では、カメラで大腸の粘膜を直接観察します。

ポリープ:
大腸の粘膜の一部が盛り上がってできた良性の腫瘍です。色は周囲の粘膜と同じようなピンク色から、やや赤みを帯びたものまであります。ポリープの中には、将来がんになる可能性のある「腺腫」と呼ばれるものがあります。腺腫は、進行すると表面の色調が変化したり、変形したりすることもあります。


大腸がん:
大腸癌はある程度進行すると、周囲の粘膜とは異なる色(赤みが強い、白っぽいなど)や形(盛り上がり、陥凹、びらんなど)として現れます。

内視鏡検査で病変が見つかった場合、その場で組織の一部を採取し(生検)、顕微鏡で詳しく調べる「病理検査」を行います。この病理検査によって、最終的にがんなのか、がんだとしたらどのようなタイプなのかが確定診断されます。



なぜ早期発見が大切なの?

大腸がんは、日本人の死因の上位を占める病気です。

国立がん研究センターのデータによると、2019年には男性で肺がん、胃がんに次いで第3位、女性では第1位、男女合計で第2位となっています。過去半世紀で死亡数が約6倍にも増加しており、食生活の欧米化や運動量の減少などが関係していると考えられています。

しかし、落ち込む必要はありません。大腸がんは、ほかのがんに比べて比較的治りやすいがんの一つです。特に、早く見つければ治るケースが多くあります。

早期発見が重要な最大の理由は、治療の成功率(予後)が大きく異なるためです。 がんと診断されてから5年後に生存している割合を示す「5年生存率」は、病気の進行度を示すステージによって大きく変わることがわかっています。早期であるステージ0やステージⅠで見つかれば、5年生存率は非常に高いですが、ステージが進むにつれて生存率は下がってしまいます。

もし進行がんとして発見された場合、手術が必要になるのはもちろん、抗がん剤による薬物療法 や放射線療法 など、より身体に負担のかかる治療が必要になる可能性が高くなります。また、手術でがんをすべて切除できたと判断されても、目に見えないがん細胞が残っていて「再発」することもあります。

便潜血検査で陽性となり大腸がんが見つかった場合でも、手遅れになるまでには年単位の時間がかかることが多いため、症状がはっきり出てからでも遅いということはなく、病院を受診することが大切です。しかし、やはり生存率や体への負担を考えると、早期発見に勝るものはありません。



早期発見のための検査

早期発見のためには、定期的な検査が不可欠です。

自分でわかる症状(血便、便通異常、腹痛など)が出にくいのが大腸がんの厄介な特徴だからです。

大腸がんの検査には、主に「便潜血検査」と「大腸内視鏡検査」があります。

1. 便潜血検査
便潜血検査は、便の中に混じった目に見えない微量の血液(潜血)を検出する検査です。大腸がん検診の一次検査(スクリーニング検査)として広く行われています。日本の便潜血検査は、ヒトのヘモグロビン(赤血球の成分)に特異的に反応する「免疫法」が主流で、食事制限などは特に必要ありません。精度を高めるために、2日分の便を採取する「2日法」が一般的です。

便潜血陽性の場合、精密検査(大腸カメラ)が必須です。一度でも陽性だった場合は、もう一度便潜血検査をして陰性でも大丈夫とはなりません。特に2日連続で陽性が出た場合は、大腸がんのリスクが1日だけの陽性と比べて10倍以上高くなるという報告もあります。現在、便潜血陽性以外に気になる症状がなくても、必ず大腸カメラを受けてください。

2. 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡カメラを挿入し、大腸の奥(盲腸)まで直接観察する検査です。便潜血検査で陽性だった場合の精密検査として最も有効であり、診断だけでなく治療も同時に行えるのが大きな特徴です。

大腸内視鏡検査でできること:
粘膜の状態を直接、詳細に観察できる。炎症、潰瘍、ポリープ、がんなどの病変の有無や状態を確認できます。
小さな病変も見つけやすい。5mm以下の小さなポリープも見つけやすく、早期がんの発見に優れています。
組織検査(生検)ができる。疑わしい病変が見つかれば、その場で組織の一部を採取し、病理検査で確定診断ができます。
ポリープ切除ができる。がんになる可能性のあるポリープをその場で切除することで、大腸がんの予防に大きく繋がります。
大腸がんだけでなく、炎症性腸疾患 など、他の大腸疾患の診断も可能です。

大腸内視鏡検査は、大腸がんの予防や早期治療に非常に有効であり、特に50歳以上の方や家族にがん患者がいる場合は、定期的な検査を受けることが強く推奨されます。また、近年は40代からの罹患率が急増しているため、40歳を過ぎたら症状がなくても定期的に検査を受けることが非常に重要です。



検査への不安を、安心に変える当院の取り組み

「大腸カメラ検査は苦しい」といった不安から、検査をためらってしまう方もいます。

当院では患者様の負担をできる限り軽減できるよう様々な工夫をしております。

1. 苦痛の少ない内視鏡検査
当院では、ご希望の方に鎮静剤を用いた「無痛大腸カメラ検査」を提供しております。鎮静剤を使用することで、検査中はほとんど眠ったようなリラックスした状態で受けることができ、検査による苦痛や不快感を大幅に軽減することが可能です。内視鏡専門医である私が、最新の内視鏡システムを用いて、丁寧かつ高精度な検査を行います。鎮静剤をご希望の方には、事前にしっかりとご説明し、安全に配慮した上で検査を行います。

2. 下剤注入法
下剤の内服が辛い方のために、内視鏡で下剤を注入する「下剤注入法」を提供しております。事前に診察や画像検査が必要となりますが、口から下剤を飲む必要がなく、非常に楽に前処置をおこなう事が出来ます。 ※下剤注入法には適応条件があり、全ての方に可能なわけではございません。

3. 女性が安心して受けられる環境
大腸カメラ検査に対して、特に女性は「恥ずかしさ」や「生理の時でも大丈夫?」といったデリケートなお悩みをお持ちの方が多いかと思います。当院では、女性の患者様が安心して検査を受けられるよう、様々な配慮をしております。

女性スタッフによるサポート:
検査前の疑問や不安(生理のこと、ムダ毛のことなど) は、内視鏡に精通した女性看護師がしっかりお聞きし、丁寧に対応させていただきます。

プライバシーに配慮した検査着:
検査当日は、ディスポーザブル(1回使い切り)で、立った時にお尻の部分がすっぽりと覆われる検査着をご用意しています。検査を始める際も、必要最低限の露出になるよう配慮しております。

生理中の検査:
生理になっても、子宮や膣と大腸は別の臓器ですので、大腸カメラ検査に影響はありません。生理用品(タンポン、ナプキン)を使用して検査を受けることも可能ですので、ご安心ください。

4. アクセス抜群で受診しやすい環境
当院は、札幌市の中心街、大通駅から徒歩30秒の場所にございます。

地下鉄東西線・南北線・東豊線の大通駅出口(14Bまたは15)から出てすぐのビルの中にあるため、雨や雪の日でも濡れることなくスムーズにご来院いただけます。お仕事の合間や買い物のついでなどにも立ち寄りやすく、通院による時間のロスを最小限に抑えることができます。

また、土日も内視鏡検査に対応しておりますので、平日に時間が取りにくい方でも検査を受けていただけます。WEBからの予約も24時間可能です。



医療保険加入している方は手術給付金支給の可能性あり

大腸ポリープの切除手術には、医療保険から給付金が支払われる可能性があります。

内視鏡によるポリープ切除も、原則、手術給付金の支払い対象になります。

入院が必要な場合は入院給付金、外来手術の場合も給付金を受け取れることがあります。切除したポリープが悪性(がん)だった場合は、がん保険などからさらに給付金を受け取れる可能性もあります。

「ポリープの治療が出来たのはいいんだけど、もう少し安ければなあ」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、きちんと手続きをすれば給付金を受け取れる場合が多いです。

当院でポリープを切除した際にも、生命保険会社から手術給付金が下りる可能性がありますので、医療保険に加入している方は事前に保険会社に問い合わせをご検討ください。




最後に

大腸がんは早期発見・早期治療で治癒率が高い病気です。

しかし、初期には自覚症状がほとんどなく、自分で気づいた時には進行している可能性もあります。だからこそ、症状がないうちから定期的に検査を受けることが、ご自身の健康を守るために非常に重要なのです。

「大腸癌って何色なの?」という疑問から始まった今回のコラムですが、大腸がんそのものに決まった色はなくても、便の色や内視鏡で見た病変の色・形から、病気のサインを読み取ることができます。

便潜血検査で陽性だった方、40歳以上の方、ご家族に大腸がんやポリープの既往がある方、そして気になる症状がある方は、ぜひ一度大腸カメラ検査をご検討ください。

当院では、患者様の不安に寄り添い、痛みに配慮した鎮静剤を用いた内視鏡検査、女性への細やかな配慮、そしてアクセス抜群の立地 で、皆様をお待ちしております。

不安な気持ちを一人で抱え込まず、まずはご相談ください。丁寧な説明と質の高い検査で、皆様の健康維持をサポートさせていただきます。


大腸内視鏡検査は札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックがおすすめです!


