2025年4月11日


今回は、皆さんが一度は経験されたことがあるかもしれない、「抗生剤で下痢になる」というテーマについて、詳しくお話ししたいと思います。

「抗生剤を飲むと、どうしてもお腹がゆるくなるんだよね…」

そんなお声を患者様からよくお伺いします。感染症で抗生剤を服用した後に、下痢の症状が出て困った経験をお持ちの方は少なくないでしょう。

確かに、抗生剤の服用と下痢には深い関係があります。しかし、その下痢が単なる一時的なものなのか、あるいは他の病気が隠れているサインなのかを見極めることは、ご自身ではなかなか難しいものです。

今回は、「抗生剤で下痢になるのはなぜ?」「その下痢は放っておいても大丈夫?」「もし心配ならどうすればいいの?」といった疑問にお答えしながら、当院で提供している大腸カメラ検査が、そうしたお悩みの解決にどのように役立つのかについて、詳しく解説していきたいと思います。

目次
なぜ抗生剤で下痢になるの?

まず、抗生剤が下痢を引き起こすメカニズムについてご説明しましょう。

私たちの腸内には、数百種類、数兆個もの細菌が共生しており、これらは「腸内フローラ」あるいは「腸内細菌叢」と呼ばれています。

腸内細菌は、食べ物の消化吸収を助けたり、免疫機能を調節したり、病原菌の増殖を抑えたりと、私たちの健康維持に非常に重要な役割を果たしています。

抗生剤は、細菌による感染症を治療するために用いられる薬ですが、残念ながら、病原菌だけでなく、私たちの腸内にいる有益な細菌までも攻撃してしまうことがあります。

その結果、腸内細菌のバランスが崩れ、悪玉菌が増殖しやすくなります。これが、抗生剤服用後に下痢が起こる主な原因です。
具体的には、以下のようなメカニズムが考えられています。

善玉菌の減少:
ヨーグルトなどに含まれるビフィズス菌や乳酸菌といった善玉菌が抗生剤によって減少すると、腸の運動が異常になったり、水分吸収がうまくいかなくなったりして、下痢を引き起こすことがあります。

悪玉菌の増殖:
腸内細菌のバランスが崩れると、ウェルシュ菌やカンピロバクターなどの悪玉菌が増殖しやすくなります。これらの悪玉菌が作り出す毒素が、腸の粘膜を刺激して炎症を起こし、下痢を引き起こすことがあります。

特定の菌による感染:
抗生剤の服用によって、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridioides difficile)という 細菌が異常に増殖し、偽膜性大腸炎という重篤な下痢を引き起こすことがあります。これは、抗生剤によって他の腸内細菌が抑制された結果、この菌だけが生き残りやすくなるために起こります。

このように、抗生剤による下痢は、腸内細菌のバランスの乱れによって様々な形で現れる可能性があるのです。



どんな下痢に注意が必要?

抗生剤による下痢は比較的よく起こるものですが、中には注意が必要なケースもあります。特に、以下のような症状が見られる場合は、自己判断せずに医療機関を受診することをおすすめします。

激しい腹痛を伴う下痢
血便
粘液の混じった下痢
高熱
脱水症状(口の渇き、尿量の減少、めまいなど)
抗生剤中止後も続く下痢

これらの症状は、単なる抗生剤による下痢ではなく、偽膜性大腸炎や炎症性腸疾患など、より重篤な病気の可能性があることを示唆している場合があります。

また、以前から大腸ポリープ や大腸がん などの病気を指摘されている方が抗生剤を服用した場合、その影響で症状が悪化している可能性も考えられます。



下痢の原因を特定するために大腸カメラが役立ちます

「下痢になったけど、いつものことだから大丈夫だろう」と安易に考えてしまうのは危険です。

なぜなら、下痢の陰には、早期発見・早期治療が重要な病気が隠れている可能性があるからです。

特に、血便 が見られる場合、それは大腸の粘膜からの出血を示唆しており、大腸がん や大腸ポリープ、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)、虚血性腸炎 などの可能性が考えられます。抗生剤の服用が、これらの病状を悪化させたり、症状を顕在化させたりすることもあるのです。

このような場合に、大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)は非常に有効な診断ツールとなります。大腸カメラ検査では、肛門から内視鏡を挿入し、大腸の粘膜の状態を直接観察することができます。これにより、炎症や潰瘍、ポリープ、がんなどの病変の有無を詳細に確認することが可能です。

また、検査中に疑わしい部分があれば、その場で組織を採取し(生検)、顕微鏡で詳しく調べることで、確定診断をつけることができます。例えば、偽膜性大腸炎が疑われる場合は、特徴的な偽膜の有無を確認したり、炎症性腸疾患が疑われる場合は、炎症の程度や範囲を評価したりすることができます。

さらに、大腸カメラ検査では、ポリープを発見した場合、その場で切除することも可能です。大腸ポリープの中には、放置すると将来的に大腸がんに進行する可能性があるものも存在するため,早期に切除することは大腸がんの予防につながります。



札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックの大腸カメラ検査の特徴

当院では、患者様に安心して受診していただけるよう、様々な取り組みを行っております。

内視鏡専門医による 質の高い検査:
当院では経験豊富な医師が検査を担当いたします。最新の内視鏡システムを使用し、丁寧かつ高精度な検査を心がけております。

苦痛の少ない検査への配慮:
当院では、ご希望に応じて鎮静剤を用いた「無痛大腸カメラ検査」を提供しております。鎮静剤を使用することで、検査中はほとんど眠ったような状態で受けることができ、検査による苦痛や不快感を大幅に軽減することが可能です。

女性に配慮した検査:
女性の方で、「お尻や肛門を見られるのが恥ずかしい」「生理中でも検査を受けられるの?」といった不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。当院では、女性スタッフによる検査前の丁寧なサポート や、羞恥心に配慮した検査着の使用 など、女性の方が安心して検査を受けられるような環境づくりに努めております。

便利な立地:
当院は、札幌大通駅から徒歩30秒という 非常に便利な場所にございます。お仕事帰りや買い物ついでにもお立ち寄りいただきやすいです。



大腸カメラ検査の流れ(当院の場合)

大腸カメラ検査は、一般的に以下のような流れで行われます。

- 事前診察・予約: 医師が問診を行い、検査の目的や方法、注意点などを丁寧に説明します。検査食や下剤などの準備物についてご説明し、検査日時を決定します。
- 検査前日: 医師の指示に従い、検査食を摂取し、夜から絶食します。水分摂取は可能です。
- 検査当日: ご自宅または院内で下剤を服用し、腸の中をきれいにします。排便状況を確認し、準備が整ったらご来院いただきます。
- 検査: 検査着に着替え、鎮静剤をご希望の場合は静脈注射を行います。内視鏡を肛門からゆっくりと挿入し、大腸全体を観察します。検査時間は通常、15分から30分程度です。
- 検査後: 鎮静剤を使用した場合は、リカバリールームでしばらくお休みいただきます。回復後、医師より、検査結果や今後の注意点についてご説明いたします。ポリープを切除した場合や組織検査を行った場合は、後日改めて病理検査の結果をご説明いたします。



費用と保険適用について

大腸内視鏡検査は、症状がある場合など、医師が必要と認めた場合には健康保険が適用されます。

検査の結果、ポリープを切除したり、組織検査を行った場合には、別途費用がかかることがあります。費用の詳細については、検査前または検査後にお気軽にご質問ください。

また、大腸ポリープ切除などの治療内容によっては、加入されている生命保険の手術給付金や医療保険の給付金が支払われる場合があります。ご加入の保険会社にお問い合わせいただくことをお勧めします。

大腸内視鏡検査にかかった費用は、確定申告で医療費控除の対象となる場合があります。領収書は大切に保管しておきましょう。



最後に

今回は、「抗生剤で下痢になる」という身近なテーマから、その陰に潜む可能性のある病気、そして大腸カメラ検査の重要性についてお話ししました。

抗生剤による下痢はよくあることですが、決して安易に考えず、気になる症状があれば早めに専門医にご相談ください。

当院では、皆様の健康な毎日をサポートできるよう、快適な環境と 高度な医療を提供してまいります。下痢の症状でお悩みの方、便潜血検査で陽性となった方、大腸がん検診をご希望の方 は、どうぞお気軽にご相談ください。
皆様のご来院を心よりお待ちしております。


大腸内視鏡検査は札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックがおすすめです!


