2025年12月31日
こんにちは!札幌大腸カメラ便潜血クリニック栄養士の田中です。
12月。仕事もプライベートも“締め”の季節になります。
忘年会、帰省、年賀状、大掃除、年末の買い出し——やることは山ほどあります。
しかし、その忙しさの陰で 腸の不調や便潜血の陽性結果を「まあ大丈夫だろう」と放置したまま年越しする方 が、毎年必ずいらっしゃいます。年が変わると気持ちがリセットされる。だからこそ、人は「来年こそ」と思いがちです。でも、腸の不調は暦ではリセットされません。
身体はカレンダーの区切りに合わせて変化してはくれません。
このブログは、
・年内に便潜血や腸の不調に向き合えなかった方へ
・便潜血陽性を放置したまま年越ししようとしている方へ
・年末年始に腸の不調を悪化させる“見えないリスク”を知りたい方へ
——そんな方に向けて書いています。
読み終える頃には、「今年の年納めは腸の状態にも区切りをつけよう」と、前向きに感じていただけたら嬉しいです。
ぜひ、最後までご覧ください。
目次
1|年納めの前に、腸に向き合えなかった理由
年末は「やらなきゃいけないこと」が増えます。検査の予約をしようと思ったのに、
・仕事が立て込んで休めなかった
・家族の予定が優先だった
・検査を考えたけれど気持ちが重くなった
・便潜血陽性になったが「ほかに症状がないし…」と後回しにした
——こういった声を、実際にクリニックで毎年聞きます。
予定は詰まり、気持ちは焦り、体は疲れます。人は 忙しくなるほど自分の体を後回しにします。
その結果、「今年は無理だったから、来年でいいか」と考える方が多いのです。
しかし、ここに落とし穴があります。忙しさは年が明けても続く。年末に後回しにしたことは、年明けもまた後回しになりやすいのです。
毎年「便潜血陽性の結果を1年間放置してしまった」という方が少なからずいらっしゃいます。そして1年経つと、
・便潜血陽性が続く
・症状が出てきた
・検査で大腸ポリープが見つかった
・進行した病変が見つかった
——そんなケースも珍しくありません。
年末の「先延ばし」は、 年明けの“継続する先延ばし” に繋がります。その習慣に区切りをつけるのが、
「年納めと腸納め」 という考え方です。
2|腸を放置したまま年越しする、3つのリスク
腸の不調や便潜血を放置して年越しすることには、年末年始だからこそ高まる3つのリスク があります。
① 食生活の乱れによる腸への負担が増える
年末年始は、消化器にとって 一年で最も過酷な時期 と言っても過言ではありません。
・脂の多い食事
・お餅やおせちなど繊維不足になりやすい食事
・冷たいお酒
・夜更かし
・水分不足
・移動による便秘
これらが 便の滞り・腸内環境の悪化・排便リズムの崩れ を引き起こし、潜在的にあった不調が表面化しやすくなります。
② 症状が出ても医療機関が閉まっている
「検査を受けよう」と思っても、医療機関は 年末年始の休診期間 に入ります。
腸の痛みや出血が強くなったり、発熱を伴ったり、便潜血陽性後に “急な悪化” があっても、受診のタイミングを逃してしまいます。
「年末に便潜血だったけど放置していた」「年明けに急に症状が出てしまい、不安なまま何日も過ごすことになった」
——こういった声は実際にあります。
③ 体の異変を“季節のせい”にしやすい
・寒くなったから血便が出やすい?
・冷えでお腹が痛くなっただけだろう
・年末年始は胃腸が荒れて当たり前
このように 自分に言い訳をしてしまう ことが増えます。しかし、「当たり前ではない異変」 が紛れ込むのが消化器です。
便潜血陽性は、「異常がある可能性のサイン」であり、「異常がないと断定するサインではありません。」
3|便潜血陽性のまま年越しする心理と、その裏側
便潜血陽性になった方の中には、「きっと痔だろう」「自覚症状ないから大丈夫」「怖い結果が出るのが嫌」と自分に言い聞かせる方が多くいます。
そのお気持ちはよく分かります。私たち医療者も人間です。検査は不安です。見たくない現実ほど遠ざけたくなります。
しかし、“怖さ” と “腸の状態” は比例しません。怖いからと放置した腸が、怖くない状態を維持してくれる保証はありません。一方で、検査で「何もなかった」と分かれば、怖さは消えます。そして“安心”が生まれます。
検査は恐怖そのものではなく、恐怖を終わらせる手段です。
4|年納めと腸納めのすすめ —— “腸の区切り” をつける
「年納め」は一年の区切りをつける儀式です。掃除や仕事納めだけでなく、心や体にも区切りをつけることができます。その中に“腸納め(腸の納め)”という視点を加えてみませんか?
腸納めとは
・便潜血陽性の結果を“放置したまま終わらせない”
・腸に抱えていた不安に“方向性をつける”
・検査をしなくても 「受ける日を決める」ことが区切りになる
つまり、腸に対して“今年の答え”を一つ置くことです。
腸納めの形は人それぞれ
ある方は大腸カメラを受ける
ある方は年明けに予約を取る
ある方は便潜血陽性の意味を改めて知る
この中で 一番良くないのは「何もしないまま年越しする」こと です。
5|年末年始、腸の不安と仲良くするための具体策
ここでは、腸に優しく年を越すための 現実的な行動 を提案します。
① 便潜血陽性の意味をもう一度思い出す
・血が出ている可能性がある
・病変の可能性が“ゼロではない”
・早期で見つかるほど治療は軽く済む
② 年内に“予約だけ”でも取る
検査が年明けでも構いません。
予約を入れることで先延ばしが止まります。
③ 年越し前後の腸をいたわるルールを1つ決める
・水を1日1.5L飲む
・お酒を飲む時は同量の水を飲む
・海藻・豆・芋類・根菜を毎日どれか1つ
・便秘が続いたら見逃さない
・出血があればスマホに“メモ”する
④ 「便潜血の年忘れ」はしない
人は不安を忘れたつもりでも、体は覚えています。
6|年が変わっても、腸は変わらない
年末の鐘が響いても、新年の初日の出が見えても、腸は昨日の腸と同じように働いています。
だからこそ、今の腸に向き合う行動を、新しい年に持ち越さない工夫 をする意味があります。
・検査の不安
・便潜血の陽性
・放置してきた気持ち
・「大丈夫だろう」という願い
そのすべてに、区切りをつけるタイミングが “今” であっても良いのです。
腸納めは検査の結果ではなく、“向き合ったという行動” に価値があります。
まとめ —— 今年の区切りに、腸の区切りも
・便潜血陽性や腸の不調を放置したまま年を越すと、年末年始の生活がリスクを高める
・忙しさで後回しになる気持ちは自然だが、放置は不安とリスクを蓄積する
・「年納めと直納め」で腸に一区切りをつけることが、翌年の安心に繋がる
・検査そのものより“向き合ったという行動”が、未来の自分を守る
・予約でも、相談でも、情報整理でも良い—— 何か一つ行動することが直納め
今年の大掃除に、身体の見えない部分—— 腸も少しだけ気にかけてみませんか?
来年のあなたに、「あの時向き合って良かった」と言ってもらえるように。
最後に——
便潜血陽性や腸の不調がある方は、年が変わる前に “直納め” の一歩 を踏み出すことをおすすめします。
どんな形でも構いません。あなたの腸の一年を、あなた自身が締めくくるために、当院は全力でサポートします。
本記事をお読みいただきありがとうございます。何かご不明な点やお悩みがございましたら、
札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックならびに札幌駅大腸カメラ便潜血クリニックまでお気軽にご相談ください。


