2025年5月20日

痔の治療を行ったのに、その後も血便が出てきて心配になっている方もいらっしゃるかもしれません。血便は決して軽視できない身体からの大切なサインです。

今回は、「痔の治療をしても血便が出る場合」というテーマで、考えられる原因や精密検査の重要性、そして当院での大腸カメラ検査について詳しくお話ししたいと思います。

目次
血便の原因は本当に「痔」だけでしょうか?

血便を見ると、まず「痔かな?」と思われる方が多いかと思います。

確かに、痔は血便の一般的な原因の一つです。排便時のいきみなどで肛門の血管が切れたり、痔核から出血したりすることはよくあります。しかし、痔の治療をしても血便が続く場合や、これまでに痔の経験がないのに血便が出た場合は、別の病気の可能性を考える必要があります。

痔出血と似たような血便の原因として、以下のようなものがあります。

大腸ポリープ:
大腸の粘膜にできるイボ状の突起物です。多くのポリープは良性ですが、一部には将来的にがん化する可能性のある「腺腫性ポリープ」があります。ポリープが大きい場合や、便が通過する際に擦れると出血することがあります。

大腸がん:
大腸にできる悪性の腫瘍です。がんの表面は傷つきやすく、便が通過するときに出血することがあります。早期の大腸がんや小さなポリープでは、必ずしも常に出血があるわけではありません。そのため、便潜血検査で陰性であっても、大腸がんが隠れている可能性は否定できません。

炎症性腸疾患:
潰瘍性大腸炎やクローン病など、大腸の粘膜に炎症が起こる病気です。炎症が強いと、粘膜がただれたり潰瘍ができたりして出血し、血便として現れます。

感染性腸炎:
細菌やウイルス感染により大腸に炎症が起こり、出血を伴う下痢や血便が見られることがあります。

このように、血便は様々な原因で起こり得ます。特に、痔の治療をしても改善しない血便、あるいは便秘や下痢などの便通異常、便が細くなる、体重減少、おなかの張り、腹痛などの症状を伴う場合は、痔以外の重篤な病気が隠れている可能性も十分に考えられます。



便潜血検査の意義と、なぜ精密検査が必要なのか

大腸がんのスクリーニング(ふるい分け)検査として広く行われているのが便潜血検査です。

この検査は、便の中に混じったわずかな血液を検出することで、大腸からの出血の有無を調べます。大腸がんや進行したポリープは、便が通過する際に擦れることで出血することが多く、便潜血検査はこの出血を捉えるための大切な第一歩です。

便潜血検査(特に免疫法)は、国の指針においても「一定の集団の大腸がんによる死亡率を減少させる」という大腸がん検診の目的に合致すると科学的に証明され、推奨されています。40歳以上の方には年1回の便潜血検査が推奨されています。

一方で、便潜血検査には限界もあります。早期のがんや小さなポリープでは、必ずしも出血があるとは限りません。そのため、便潜血検査が陰性であったとしても、大腸がんが完全に否定できるわけではないことを理解しておく必要があります。また、痔や炎症など、がん以外の原因でも陽性になることがあります。



精密検査として最も有効な「大腸カメラ検査」

大腸カメラ(大腸内視鏡検査)は、大腸の粘膜を直接観察できる最も有効な検査です。

また、血便がある場合や、以前にポリープの切除を経験された方には、便潜血検査よりも大腸内視鏡検査が推奨されます。

粘膜の状態を直接観察:
炎症、潰瘍、ポリープ、がんなどの病変の有無や状態を詳しく確認できます。

早期病変の発見:
5mm以下の小さなポリープも見つけやすく、早期のがんを発見する上で非常に優れています。

組織検査(生検):
疑わしい部分があれば、その場で組織の一部を採取し、病理検査を行うことで確定診断をつけることができます。これにより、病変が悪性(がん)なのか、良性なのかなどを正確に診断できます。

ポリープ切除(内視鏡的治療):
ポリープが見つかった場合、その場で切除することも可能です。これにより、改めて手術を受ける必要がなく、患者様の負担が軽減されます。



大腸がんのリスク要因と生活習慣による予防

大腸がんは北海道を含め全国で増加傾向にあります。

大腸がんの発症には、様々な要因が関与しています。主なリスク要因としては、以下が挙げられます。
加齢:
50歳以上になるとリスクが高まります。

大腸がんやポリープの家族歴:
血縁者に大腸がんやポリープになった方がいる場合、リスクが高くなります。家族歴がある場合は、特に定期的な検査が推奨されます。

食生活:
赤身肉や加工肉の過剰摂取、食物繊維不足はリスクを高めます。動物性の脂肪を多く含む食品も控えるべきです。カルシウム不足もリスクになります。

喫煙:
喫煙は大腸がんのリスクを高めます。タバコに含まれる有害物質が影響します。

飲酒:
過度の飲酒もリスク要因です。アルコールの分解過程で有害物質が生成されます。

肥満:
肥満も大腸がんのリスクを高めます。腸内の炎症が促進されやすくなるためです。




当院での大腸カメラ検査について

特に初めて検査を受ける方は、強い不安を感じるかと思います。

当院では、そうした患者様の不安や苦痛を最小限に抑えるため、様々な取り組みを行っています。

1. 「痛くない」を追求する鎮静剤の使用
当院では、鎮静剤を使用することで、痛みを感じさせないように検査を行うことに力を入れています。当院の場合、鎮静剤を静脈注射することで、「寝ている状態」や「ウトウトした状態」で検査を受けることが可能です。

当院で行ったアンケート調査では、大腸カメラの痛みを5段階評価で伺ったところ、現在まで4または5(痛みが強い、非常に痛みが強い)と回答された方は一人もいらっしゃいません。多くの患者様が「楽だった、気が付かないうちに終わった」と回答されています。

2. 経験豊富な専門医による検査
当院では経験豊富な専門医が、患者様の状態に合わせて適切な手技を行うことで、内視鏡の挿入が難しい方であっても、ほとんどの場合、痛みを感じることなく検査を終えることができます。

当院は、大腸内視鏡検査の専門クリニックとして、皆様に安心して検査を受けていただける体制を整えています。

3. 最新鋭の医療設備
当院では、最新鋭の医療設備を導入し、より正確で安全な検査を提供しています。高度な内視鏡技術を駆使し、熟練した医療スタッフが、迅速かつ正確な診断を行います。

4. 検査中にポリープが見つかったらその場で切除
大腸カメラ検査中にポリープが発見された場合、多くのポリープはその場で切除することが可能です。これにより、改めて別の日に治療を受ける必要がなく、一度の検査で診断から治療まで完了できることが多く、患者様の負担を軽減できます。

5. 胃カメラとの同日検査も可能
当院では、ご希望に応じて胃カメラ検査と大腸カメラ検査を同日に受けることも可能です。胃カメラと大腸カメラを同日に行うことは、身体への負担としてはほぼ変わりません。

一度の準備で両方の検査を済ませられるため、時間や身体への負担を軽減できます。特に、慢性的な腹痛や消化不良がある方、便に血が混じる、または黒い便が出る場合、50歳以上の方や大腸がんの家族歴がある方などには、消化器系の詳細な状態を一度に把握できる同時検査が推奨されることが多いです。



もし血便が出たら、どこに相談すべきか?

血便が出た場合、どこに相談すべきか不安になることが多いかと思います。

結論から申し上げると、消化器内科、内視鏡内科、肛門科のいずれかを受診するのが正解です。これらの診療科では、血便の原因を正確に診断するための専門的な検査や治療を受けることができます。

当院は消化器内科・内視鏡内科として、大腸がんやポリープ、炎症性腸疾患など、様々な消化器疾患の診断と治療に対応しています。血便の原因を特定するためには、詳細な問診や身体検査に加え、必要に応じて便検査や腹部超音波検査、そして最も有効な大腸カメラ検査を行います。

血便は、身体のどこかが異常を訴える大きなシグナルです。血便を無視せず軽視することなく、早急に医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることがご自身の健康を守るために最も重要なことです。



まとめ

痔の治療をしても血便が出る場合、その原因は痔だけとは限りません。

大腸ポリープや大腸がん、炎症性腸疾患など、様々な病気の可能性が考えられます。便潜血検査で異常ありと判定された方や、血便などの症状がある方は、精密検査として大腸カメラ検査を受けることが強く推奨されます。

大腸カメラ検査は、大腸の粘膜を直接観察し、病変を早期に発見・診断できる最も有効な方法です。特に、がん化する可能性のあるポリープをその場で切除することで、大腸がんの予防に繋がります。

当院(札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニック)では、患者様の苦痛を最小限に抑えるため、鎮静剤を使用した「痛くない」大腸カメラ検査を追求しています。

経験豊富な専門医が最新鋭の設備を用いて検査を行い、ポリープが見つかればその場で切除も可能です。土日診療やインターネット予約も可能で、忙しい方でも受診しやすい体制を整えています。

皆様のご来院を心よりお待ちしております。


大腸内視鏡検査は札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックがおすすめです!


