2025年7月02日

札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニック院長の福田です。

多くの方が「がんの余命」という言葉に、大きな不安を感じられることと存じます。

大腸がんと診断された際、その後の生活や治療、そして「余命」について思いを巡らせるのは当然のことです。

しかし、大切なことは、大腸がんは、早期に発見して適切な治療を行えば、ほぼ治癒が可能ながんの一つであるという事実です。

今回は、大腸がんの余命がどのように決まるのか、そして、より良い予後を目指すために何ができるのかについて、詳しくご説明いたします。

目次
大腸がんの現状と「余命」という概念

生涯のうちにがんと診断される確率は2人に1人と言われています。

特に大腸がんは、全国的に増加傾向にあり、国立がん研究センターの全国がん登録データによると、2023年にはがんで亡くなった人のうち、女性では大腸がんが第1位、男性では肺がんに次いで第2位となっています。

「余命」という言葉は、残された期間を示唆するため、非常に重く受け止められがちです。

しかし、医療現場で「余命」を語る際には、一般的に「5年相対生存率」という指標が用いられます。これは、「がんと診断された人が、診断から5年後に生存している割合が、一般の日本人と比較してどのくらいか」をパーセンテージで示したものです。

この数字が高いほど、治療によって命を救える可能性が高いことを意味します。


大腸がんのステージと余命:早期発見の重要性

大腸がんの予後を語る上で、最も重要な要素は「がんの進行度(ステージ)」です。

大腸がんは、深達度や転移の有無などによって、ステージ0からステージIVまでの5段階に分類されます。ステージの数字が大きいほど、がんが進行している状態を示します。

国立がん研究センターの調査によると、大腸がんの5年生存率(純生存率)は以下の通りです。

- ステージI: 92.3%
- ステージII: 85.5%
- ステージIII: 75.5%
- ステージIV: 18.3%

このデータから明らかなように、がんが早期のステージIで発見されれば、約92.3%と非常に高い確率で治療による治癒が期待できます。

これは、ほとんどの大腸がんが、早期に発見できれば完治が見込める病気であることを意味します。しかし、ステージが進むにつれて5年生存率は顕著に低下します。ステージIVでは、他の臓器への転移が広範囲に及んでいるため、生存率が大きく下がってしまうのが現状です。

また、ステージが低いほど、がんに伴う症状も軽く、治療による身体への負担も小さく済みます。手術の範囲も小さく、回復期間も短縮されることが多いです。

逆に、進行がんと診断されると、治療が大掛かりになったり、複数の治療法を組み合わせる必要が出てきたりと、患者様の心身への負担は大きくなります。

この事実が示すのは、大腸がんにおいて最も大切なのは「早期発見」であるということです。


大腸がんの厄介な初期症状:なぜ定期検査が不可欠なのか

大腸がんは早期の段階では、ほとんど自覚症状がない場合が多いです。

残念ながら、ご自身で「何かおかしい」と感じる頃には、すでにがんが進行している可能性が高いのです。

進行した大腸がんで見られる症状としては、以下のようなものがあります。

下血・血便
便秘や下痢の繰り返し、または便が細くなる
貧血
腹部のしこりや痛み
体重減少

これらの症状は、痔や他の消化器疾患でも見られるため、自己判断は非常に危険です。症状がある場合はもちろんですが、理想的には症状が出る前の段階で発見することです。そのためには、定期的な検査が何よりも重要になります。


大腸がんの早期発見を支える二つの検査

大腸がんの早期発見には、主に二つの検査が有効です。

1. 便潜血検査:手軽なスクリーニングの第一歩

便潜血検査は、便の中に目には見えないわずかな血液が混じっているかを調べる検査です。

検査の対象年齢は40歳以上で、年に1回のペースで実施することが推奨されています。これは、40歳を超えると大腸がんの罹患率が上昇し始め、50歳になると急増するためです。

ただし、便潜血検査には限界があることも理解しておく必要があります。早期のがんや小さなポリープでは出血がない場合があり、陰性だからといって大腸がんが完全に否定できるわけではありません。

最も重要なことは、もし便潜血検査で「異常あり(陽性)」という結果が出た場合、必ず精密検査を受けることです。精密検査の機会を逃さないようにしてください。

2. 大腸カメラ(大腸内視鏡検査):最も有効な精密検査

便潜血検査で陽性だった場合、または血便や便通異常などの症状がある場合に最も推奨されるのが、大腸カメラです。これは、大腸の粘膜を医師が直接観察できる、最も有効で精度の高い検査です。

当クリニックは大通駅から徒歩30秒という非常に便利な立地にあり、土日も検査に対応しています。また、ウェブサイトからは24時間いつでもネット予約が可能で、急な体調変化にも柔軟に対応できるよう、当日予約も可能な場合があります)。



大腸がんのリスク要因と予防:生活習慣の見直し

大腸がんの発症には、様々な要因が関与しています。

1. 変えられないリスク要因
加齢:
40代後半から罹患率が増加し始め、高齢になるほど増加します。
大腸がんやポリープの家族歴・遺伝:
家族に大腸がんやポリープの既往歴がある場合、リスクが高まります。遺伝性大腸がんもありますが、全体の約5%程度と言われています。



2. 変えられるリスク要因
赤身肉や加工肉の過剰摂取:
大腸がんのリスクを高めると考えられています。加工肉には発がん性物質が含まれる可能性も指摘されています。

食物繊維不足:
食物繊維は、便通を改善し、腸内の有害物質の排出を助けることで、大腸がんのリスクを減らすと考えられています。また、腸内細菌に良い影響を与え、大腸の内壁を保護する効果も期待されます。日本人の平均食物繊維摂取量は推奨量を下回る傾向にあります。

喫煙:
喫煙は大腸がんのリスクを高めます。

飲酒:
過度な飲酒も大腸がんのリスク要因です。

肥満:
肥満や急激な体重増加も大腸がんのリスク増大と強く関連しています。

運動不足:
適度な運動は腸の働きを活発にし、肥満の予防にも繋がります。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を習慣にすることをお勧めします。



最後に:あなたの健康を守るために

大腸がんは、早期発見ができれば治癒する可能性が高いがんです。

進行するまで自覚症状がないことが多いからこそ、症状がなくても定期的に検査を受けることが、ご自身の命を守るために非常に重要です。

「自分は健康だから大丈夫」と思っていても、大腸がんのリスクは40代から確実に高まります。北海道における大腸がん検診の受診率は全国最下位という現状がありますが、早期発見・早期治療のためには、多くの方が定期的に大腸がん検診を受診する必要があります。

当クリニックは、患者様が安心して大腸カメラ検査を受けられるよう、鎮静剤を使用した苦痛の少ない検査、土日診療、ウェブ予約、大通駅直結のアクセスなど、万全の体制を整えております。また、経験豊富な内視鏡専門医である院長が全ての検査を担当し、質の高い診断と治療を提供しています。

便潜血検査で陽性となった方、40歳以上で定期的な検査をご希望の方、またはご家族に大腸がんやポリープの既往歴がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。あなたの健康な未来をサポートするため、スタッフ一同、心よりお待ちしております。


大腸内視鏡検査は札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックがおすすめです!


