2025年7月30日

札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニック院長の福田です。

日々の診察の中で、患者様から「お腹の調子が悪い」「下痢が長く続いている」というご相談をいただくことが多くあります。

下痢は非常に身近な症状ですが、長く続く場合には、単なる体調不良だけでなく、見過ごしてはならない重要な体のサインである可能性があります。

このコラムでは、長引く下痢が示す可能性のある原因から、なぜ専門的な検査、特に大腸カメラ検査が重要なのか、そして当院がどのように患者様の不安を和らげ、安心して検査を受けていただける環境を提供しているかについて、詳しくお話しさせていただきます。

目次
長く続く下痢が訴える「沈黙のサイン」

下痢が続く原因には「より注意が必要なもの」があります。

日常的な原因と生活習慣

多くの場合、下痢は食生活の乱れやストレス、または服用している薬の副作用として現れます。

感染性腸炎
生肉や生魚などの食事や周囲の方から感染して下痢を起こす場合があります。クリニックに来る方で一番多いのがこのケースです。多くの場合、無治療でも一週間以内に改善しますが、抗菌薬が必要なケースもあります。

ストレス
腸は「第2の脳」とも呼ばれるほどストレスの影響を受けやすい臓器です。過敏性腸症候群(IBS)のように、ストレスが引き金となり、下痢や便秘を繰り返すケースも少なくありません。

薬の副作用
抗菌薬(抗生物質)は感染症の治療に有効ですが、腸内の善玉菌まで減少させて腸内細菌のバランスを崩し、下痢を引き起こすことがあります。また、プロトンポンプインヒビター(PPI)などの胃薬や、高血圧の薬(カルシウム拮抗薬など)が便秘や下痢の原因となることも報告されています。

これらの原因による下痢は、生活習慣の改善や薬の調整によって症状が和らぐことが多いです。しかし、自己判断で薬の服用を中止したりせず、必ず医師に相談することが重要です。

より注意が必要な疾患の可能性

一方で、長引く下痢は、より専門的な診断と治療が必要な疾患のサインであることもあります。

炎症性腸疾患(IBD)
潰瘍性大腸炎やクローン病といった難病指定されている疾患は、腸の慢性的な炎症を伴い、腹痛や血便、下痢などの症状が周期的に現れることがあります。

虚血性腸炎
腸への血流が一時的に不足することで炎症が起こる病気で、突然の腹痛と血便、下痢を伴うことが特徴です。特に中年女性に多く見られるとされています。

アニサキス症
生の魚介類に寄生するアニサキス幼虫を摂取することで、激しい腹痛や吐き気、嘔吐、そして下痢などの症状が食後数時間以内に現れることがあります。アレルギー反応として蕁麻疹や発熱を伴うこともあります。



最も警戒すべきサイン:大腸がん

そして、長引く下痢の中で最も警戒すべきは、大腸がんの可能性です。

大腸がんは、女性のがんによる死亡原因で第1位、男性では肺がんに次いで第2位と、日本人にとって非常に深刻な病気です。しかし、早期に発見し、適切な治療を行えば、ほぼ治癒が可能ながんです。
大腸がんの症状は、その発生部位によって異なりますが、進行すると以下のような症状が現れることがあります。

便通異常
便秘と下痢を繰り返す、便が細くなる。特に便が細くなる場合、肛門に近い部分に大きな腫瘍やがんができて腸管が狭くなっている可能性があります。
血便
肉眼では見えない微量の出血から、鮮血、あるいはタール状の黒い便まで様々です。大腸がんによる出血は少量で鮮血であることが多いですが、進行すると腫瘍の血管が裂けて多量に出血することもあります。

腹痛・腹部不快感
進行がんでは便が通過する際に痛みを感じることがあります。

貧血
慢性的な出血により貧血が進行し、疲れやすさ、息切れ、頭痛などの症状が見られることがあります。

体重減少
原因不明の急激な体重減少も警戒すべきサインです。

厄介なことに、大腸がんは初期段階ではほとんど自覚症状がないことが多いです。症状が現れた時には、病気が進行している場合があります。



なぜ大腸カメラ検査が不可欠なのか

長引く下痢の原因を検索するために大腸カメラが必要な場合があります。

直接観察による精度の高さ
大腸カメラは、カメラと光源が付いた細長いチューブを肛門から挿入し、大腸の内部を医師が直接目で見て観察します。これにより、小さな病変や、粘膜の色調変化、細かい模様まで詳細に確認できます。

病変の特定と組織採取
検査中に炎症、潰瘍、ポリープ、がんなどの病変が見つかった場合、その場で組織の一部を採取(生検)し、病理検査を行うことで確定診断をつけることができます。これは、他の検査では得られない大腸カメラの大きな利点です。

ポリープ切除による大腸がん予防の絶大な効果
大腸ポリープは、大腸がんの「前がん状態」であることが多く、良性であっても放置すると将来的にがん化する可能性があります。大腸カメラ検査では、ポリープが見つかった場合、その場で内視鏡的に切除することが可能です。



便潜血検査の限界と大腸カメラの優位性

大腸がん検診の一次検診として便潜血検査が推奨されています

ただし、あくまで一次検診としてのスクリーニングの検査のため限界もあります。

陰性でもがんの可能性
早期がんや小さなポリープでは必ずしも出血があるとは限らず、便潜血検査が陰性であっても大腸がんが隠れている可能性があります。

陽性でもがんではない可能性
痔や大腸の炎症など、がん以外の原因でも陽性となることがあります。

見逃しの可能性
便潜血検査では、早期の大腸がんの約50%、進行がんの20~30%が見逃されてしまうことがわかっています。

便潜血検査で「異常あり」と判定された場合、最も重要なのは必ず精密検査、すなわち大腸カメラ検査を受けることです。これを放置してしまうと、病気の発見が遅れ、手遅れになる可能性があります。

当院が「痛くない」「安心」な大腸カメラ検査を追求する理由

大腸カメラに「つらい」といった印象をお持ちだと思います。

当院では、患者様が安心して検査を受けられるよう、以下のような取り組みを行っています。

鎮静剤を活用した無痛検査へのこだわり
大腸カメラ検査時の「痛みや不快感」を軽減するため、当院では鎮静剤(麻酔薬)を使用した内視鏡検査を積極的に行っています。

熟練した専門医による検査
大腸カメラは、特に女性の患者様では盲腸までの挿入が難しい場合や痛みを感じやすい傾向がありますが、豊富な経験と高い技術を持つ専門医が担当することで、ほとんどのケースで痛みを感じることなく検査を終えることができます。

最新の内視鏡システムと安全対策
当院では、大学病院レベルの最新鋭の内視鏡機器と設備を導入しています。これにより、高精細な画像で微細な病変も早期に発見し、より正確な診断が可能になります。また、検査中の安全性確保のため、内視鏡機器の滅菌消毒を徹底し、感染リスクを最小限に抑えています。



患者様の負担を徹底的に軽減する当院のアプローチ

当院では、様々な面で負担軽減に努めています。

駅徒歩30秒の好立地と週末診療
当院は、札幌地下鉄大通駅から徒歩30秒というアクセス抜群の立地にあります。雨や雪の日でも傘を使わずに通院できるため、天候に左右されず安心してご来院いただけます。 また、土曜日・日曜日も診療を行っており、平日はお仕事で忙しい方でも、ご自身の都合に合わせて検査を受けることが可能です。

胃カメラ・大腸カメラ同日検査のメリット
「胃と大腸、両方気になるけど、何度も病院に行くのは大変」と感じる方もいらっしゃるでしょう。当院では、胃カメラと大腸カメラの同日検査も可能です。

院内での下剤服用が可能
大腸カメラ検査の準備で最もつらいと言われるのが、大量の下剤(腸管洗浄液)の服用です。当院では、院内で下剤を服用できる体制を整えています。これにより、ご自宅での下剤服用による不安や不快感を軽減し、専門スタッフのサポートのもとで安心して準備を進めることができます。

24時間WEB予約
当院では、24時間いつでもスマートフォンやPCからWEB予約が可能です。ご自身の都合の良い時間に、簡単に検査予約ができるため、忙しい方でもスムーズに手続きを進められます。



大腸がん予防のための生活習慣

大腸がんの予防には、日々の生活習慣の見直しも非常に重要です。

バランスの取れた食事と食物繊維の重要性

食物繊維の摂取
野菜、果物、全粒穀物、豆類など食物繊維を豊富に含む食品を積極的に摂取しましょう。食物繊維は便通を改善し、腸内の有害物質を排出するのを助け、大腸がんのリスクを減らすことが研究で示されています。

赤肉や加工肉の摂取を控える
赤肉やハム、ソーセージなどの加工肉の過剰摂取は、腸内で発がん性物質を生成しやすく、大腸がんのリスクを高めるとされています。

発酵食品の活用
ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品は、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えるのに役立ちます。

その他の生活習慣

適度な運動
定期的な運動は腸の動きを活発にし、便通を改善します。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を習慣にすることで、大腸がんのリスクを低減し、全身の健康維持にも繋がります。運動はストレス解消にも効果的です。

禁煙・節酒
喫煙と過度な飲酒は大腸がんのリスクを高める大きな要因です。健康的な生活のためには、禁煙に取り組むこと、そして飲酒は適量を守ることが大切です。



早期発見・早期治療のために:今すぐご相談ください

下痢が長く続くなど症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。

特に40歳以上の方や、ご家族に大腸がんやポリープの既往歴がある方は、症状がなくても定期的な大腸カメラ検査をお勧めします。

当院は札幌地下鉄大通駅から徒歩30秒とアクセスも抜群です。土曜日・日曜日も診療・検査を行っておりますので、お忙しい方でもお気軽にご相談ください。24時間WEB予約も可能です。

下痢が長く続くことは、体が発している大切なメッセージかもしれません。そのメッセージに耳を傾け、適切な医療を受けることが、皆様の健康な毎日を守る第一歩となります。

ご心配なことやご不明な点がございましたら、いつでもお気軽に当院にご相談ください。皆様のご来院を心よりお待ちしております。


大腸内視鏡検査は札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックがおすすめです!


