2025年4月26日

皆様、こんにちは。札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニック院長の福田遼です。

今回は、「大腸カメラで問題なければ便潜血検査はしなくてもいい!?」という、時々患者様からいただくご質問について掘り下げてお話したいと思います。

大腸がんの検査にはいくつか種類がありますが、皆様にとって最も身近なのは「便潜血検査」ではないでしょうか。

健康診断や自治体のがん検診で受けられたことがある方も多いと思います。この便潜血検査で異常(陽性)があった場合は「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)」が推奨されます。

では、タイトルの疑問に戻りましょう。「大腸カメラで問題なければ便潜血検査はしなくてもいい!?」

結論から申し上げますと、大腸カメラ検査で大腸全体を詳細に調べて異常がなかった場合、当面の間は便潜血検査は不要、あるいは優先度が低くなると考えられます。しかし、厳密には「しなくてもいい」と断言できるものではありません。

なぜでしょうか? それを理解するためには、便潜血検査と大腸カメラ検査のそれぞれの役割と限界を知ることが大切です。



目次
便潜血検査とは? その役割と限界

便潜血検査は、便の中に混じった目に見えない微量の血液(潜血)を検出する検査です。

大腸がんやポリープ、炎症などがあると、大腸の粘膜から出血することがあるため、その出血を手がかりに病変の可能性を見つけ出そうというスクリーニング(ふるい分け)検査です。

便潜血検査は、大腸がんによる死亡率を減少させる効果があることが科学的に証明されており、40歳以上の方には年1回受けることが推奨されています。特に50歳以上では強く推奨されています。

しかし、便潜血検査には限界があります。

出血していなければ検出できない:
大腸がんやポリープがあっても、常に出血しているとは限りません。特に早期のがんや小さなポリープは出血しにくい傾向があります。便潜血陰性でも早期がんや進行がんが隠れていることもあります。

出血の原因が特定できない:
便潜血検査で陽性となったとしても、その出血がどこから来ているのかは分かりません。大腸がん以外にも、痔や大腸の炎症、憩室など、様々な原因で出血することがあります。便潜血陽性が出ても、大腸がんが見つかる確率は数パーセントと言われています。

しかし、たとえ痔からの出血だと思って自己判断で放置するのは非常に危険です。便潜血が陽性だった場合、たとえ1回だけ陽性でも、必ず大腸カメラ検査を受ける必要があります。

つまり、便潜血検査はあくまで「出血している可能性があるか」を調べるスクリーニング検査であり、病変の有無や種類、場所を特定するものではありません。



大腸内視鏡検査(大腸カメラ)とは? その役割とメリット

大腸カメラの最大のメリットは、大腸の内部を詳細に観察できることにあります。

便潜血検査では見つけにくい、出血を伴わない病変や小さながん、ポリープも発見することができます。また、粘膜の色や形、表面の凹凸など、病変の詳しい状態を確認できます。

さらに、大腸カメラの大きな強みとして、検査中に疑わしい病変が見つかった場合に、その場で組織の一部を採取して詳しい検査(病理検査)に回したり、ポリープが見つかればその場で切除したりすることができる点があります。

大腸ポリープの中には、放置すると将来的にがんに進行する可能性のある「腺腫」と呼ばれる種類があります。この腺腫の段階で切除することで、将来の大腸がんを予防することができるのです。これは、大腸カメラ検査の最も重要な意義の一つです。

大腸カメラ検査で発見できる疾患は、大腸がんや大腸ポリープだけでなく、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)、大腸憩室症、虚血性腸炎、痔など多岐にわたります。これらの病気の中には、無症状で進行しているものも少なくありません。



なぜ便潜血陰性でも大腸カメラを検討すべきなのか?

ここまでの説明で、便潜血検査と大腸カメラ検査の特性がお分かりいただけたかと思います。

便潜血検査が陰性だった場合、確かに現時点で大量の出血を伴う病変はない可能性が高いです。しかし、先述の通り、出血していない病変や、たまたま検査のタイミングで出血がなかった病変は見逃されてしまいます。進行がんでも出血が少ないケースもありますし、早期がんやポリープは見つけにくいのです。

一方、大腸カメラ検査は、大腸の内部を直接、医師の目で確認する検査です。検査前の適切な腸管洗浄によって、粘膜をクリアな状態にして観察するため、小さな病変も見落としにくい精度の高い検査です。ポリープが見つかればその場で切除できるため、がん予防にもつながります。

したがって、便潜血検査で異常がなくても、大腸カメラ検査で大腸全体を一度しっかりと調べておくことは、より確実に病変を早期発見・早期治療するために非常に有効です。特に、以下のような方は、便潜血陰性であっても大腸カメラ検査を検討することを強くお勧めします。

40歳以上、特に50歳以上の方:
大腸がんのリスクが年齢とともに高まるためです。

大腸がんや大腸ポリープの家族歴がある方:
遺伝的な要因も関係するため、リスクが高いと考えられます。

便潜血検査で陽性になったことがある方:
一度陽性になった方は、たとえその後に陰性になったとしても、病変が隠れている可能性を否定できません。特に2回連続陽性だった場合は、大腸がんのリスクが1日だけの陽性と比較して10倍以上高くなるという報告もあります。

便秘、下痢、腹痛、血便など、お腹の症状が気になる方:
これらの症状は必ずしも大腸がんの初期症状ではありませんが、虚血性腸炎や炎症性腸疾患など、他の大腸疾患の可能性もあります。血便は、痔だけでなく大腸がんのサインの可能性もあるため、軽視せずに検査が必要です。

生活習慣上のリスク要因が多い方:
赤身肉や加工肉の過剰摂取、食物繊維不足、喫煙、過度の飲酒、肥満、運動不足などが大腸がんのリスクを高めると言われています。バランスの取れた食事や適度な運動などの生活習慣の見直しも重要ですが、リスク要因が多い方は定期的な検査がより大切です。

過去に大腸ポリープを切除した経験がある方:
大腸ポリープは再発しやすい疾患の一つです。定期的な内視鏡検査で経過を観察し、再発や新たなポリープの発生がないか確認することが推奨されます。


一度大腸カメラ検査を受けて大腸全体を詳細に調べ、特に異常が見つからなかった場合でも、その後は何年間隔で検査を受けるべきか、医師と相談して定期的な検査計画を立てることが重要です。



当院で大腸カメラ検査を受けるメリット

「重要性は分かったけれど、検査が不安…」と感じている方もいると思います。

特に、「検査は苦しい、痛いのではないか」「恥ずかしい」といった不安を抱えている方が少なくありません。

札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックでは、患者様に安心して検査を受けていただけるよう、様々な工夫を凝らしています。

苦痛の少ない内視鏡検査:
当院では、鎮静剤を用いた「無痛大腸カメラ検査」を提供しております。鎮静剤を使用することで、検査中はほとんど眠ったような状態で受けることができ、検査による苦痛や不快感を大幅に軽減することが可能です。

患者様がリラックスして検査を受けることは、医師がより丁寧に、かつ正確に観察することにもつながります。内視鏡検査は医師の技量によっても質が変わると言われています。

女性へのきめ細やかな配慮:
大腸カメラ検査は、女性にとって特に恥ずかしさを感じる検査だと思います。当院では、女性の患者様が安心して検査を受けられるよう、様々な配慮をしています。

検査前の説明やサポートは女性スタッフが担当し、生理の際の対応 やムダ毛処理に関するご心配 など、男性医師には相談しにくいお悩みにもきめ細やかに対応いたします。

検査着にもこだわりがあり、お尻の部分にスリットが入った、立った時にはほとんどお尻が見えない使い捨ての検査着を使用しています。検査中も必要最低限の露出に抑えるよう配慮しています。

利便性の高い立地と予約システム:
当院は札幌市中央区、大通駅から徒歩30秒という非常にアクセスの良い場所にあります。地下鉄出口(14Bまたは15)からすぐのビル内に位置しているため、雨や雪の日でもほとんど濡れることなくご来院いただけます。

お仕事の休憩時間や買い物ついでにも立ち寄りやすい立地です。WEB予約システムを導入しており、24時間いつでもご自身の都合の良い時間に検査予約が可能です。

土日対応:
平日はお仕事や育児などで忙しく、なかなか病院に行けないという方もいらっしゃると思います。当院では、土日も大腸カメラ検査に対応しており、平日に時間が取れない方でも検査を受けることが可能です。午前中だけで検査を終えられるプランもご用意しています。

検査前準備のサポート:
大腸カメラ検査の精度を高めるためには、検査前日の食事と適切な腸管洗浄が非常に重要です。特に食物繊維の多いもの(野菜類、きのこ類、海藻類、果物の種、ゴマ、ナッツ類など)は消化されずに大腸に残ってしまうため、避ける必要があります。

脂肪分の多いものもNGです。当院では、検査前日に食べて良いもの・悪いものを分かりやすく具体的にご説明し、ご希望の方には手軽な検査前日用のお食事セット(朝・昼・夕食のセット)もご用意しています。消化に良いコンビニ食の例などもご紹介しています。

また、下剤についても、ご自宅で服用する方法 や、当院で服用する方法 をお選びいただけ、患者様の負担を軽減できるよう配慮しています。下剤の種類もいくつかあり、味や量などが異なります。

待ち時間対策:
検査までの待ち時間を快適に過ごしていただけるよう、院内では雑誌やマンガの読み放題サービス「ビューン読み放題スポット」を導入しています。ご自身のスマートフォンで利用でき、感染症対策にも有効です。

費用と保険について:
大腸内視鏡検査は、症状がある場合や便潜血検査で陽性となった場合など、医師が必要と認めた場合には健康保険が適用されます。

自己負担額は通常3割です。ポリープ切除を行った場合には、別途費用がかかることがあります。また、大腸ポリープ切除などの治療内容は、ご加入の生命保険や医療保険の手術給付金や給付金の支払い対象となる場合があります。

念のため、ご加入の保険会社にご確認いただくことをお勧めします。検査にかかった費用は、確定申告で医療費控除の対象となる場合もありますので、領収書は大切に保管してください。



まとめ

大腸がんは早期発見が極めて重要であり、早期に発見できれば治癒率も高いです。

大腸カメラ検査は、その早期発見・早期治療、そしてがん予防に最も有効な手段です。

当院では、患者様が安心して、そして快適に検査を受けられるよう、苦痛に配慮した鎮静剤の使用、女性へのきめ細やかな配慮、駅直結の便利な立地、土日対応、充実した検査前サポートなど、様々な体制を整えております。

便潜血検査で陽性だった方はもちろん、陰性であっても大腸がんのリスクが気になる方、お腹の症状がある方、これまで一度も大腸カメラ検査を受けたことがないという方は、ぜひ一度当院にご相談ください。勇気を出して検査を受けることが、ご自身の健康と安心につながります。

皆様の健康な毎日をサポートするため、スタッフ一同、誠心誠意努めてまいります。ご予約やご不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

皆様のご来院を心よりお待ちしております


大腸内視鏡検査は札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックがおすすめです!


