2025年2月22日

『高血圧の薬を飲んでから便秘になった』

『高血圧の薬の副作用はめまい・ふらつきだけだと思っていた』

『急に便秘になったけど原因はわからない』

今回はそんな疑問にお答えします。

目次
1. 高血圧の薬による便秘の主な原因

高血圧の薬を服用することで、便秘を引き起こすことがあります。

1.1. 副作用としての便秘とは
高血圧の薬(降圧薬)のうち、Caブロッカー(ニフェジピン、アムロジピン、ニカルジピン、シルニジピンなど)という薬によって便秘が起こる副作用があります。降圧薬による便秘の原因は、消化管の動きが遅くなることによって発生します。便秘が続くと、痔や大腸の問題を引き起こす可能性もあるため、早めの対策が必要です。生活習慣の改善や飲食の見直しも、効果的な対策として考えられます。
1.2. Caブロッカーの影響
Caブロッカーは、血圧を下げるために使用される一般的な薬のひとつです。この薬は、血管の筋肉を緩める働きがあり、血圧を効率的に低下させる効果があります。しかし、Caブロッカーが腸の筋肉にも影響を与えることが知られています。腸の筋肉が緩むと、便の移動が遅くなるため、便秘が発生しやすくなります。Caブロッカーを服用している患者様は、便秘のリスクを理解しておくことが重要です。便秘を予防するためには、適度な運動やバランスの取れた食事が推奨されます。
1.3. 大腸カメラの必要性
便秘が長期間続く場合、医師は大腸カメラ検査を推奨することがあります。大腸カメラ検査は、腸の内部を詳しく観察し、便秘の原因や潜在的な問題を特定するために有効な手段です。便秘の原因を早期に発見し、適切な治療を行うためにも大腸カメラ検査は重要です。便秘の原因が薬にある場合でも、大腸の健康状態を定期的にチェックすることは、長期的な健康管理に役立ちます。



2. Ca拮抗薬による便秘の機序

Ca拮抗薬は、高血圧や心臓の病気を治療するために使われる薬ですが、一部の方は便秘を引き起こすことがあります。

2.1. Ca拮抗薬は血管の平滑筋だけでなく消化管の平滑筋も弛緩させてしまう
Ca拮抗薬は血圧を下げるために、血管の平滑筋を弛緩させます。ただし、消化管の平滑筋も同様に弛緩してしまうのです。
平滑筋が弛緩すると、蠕動運動が低下します。蠕動運動は、食物を消化管で移動させるために重要な動きです。食物が長時間消化管内にとどまると、水分が過剰に吸収され、便が硬くなり、さらに便は出にくくなります。
2.3. Ca拮抗薬の機序
Ca拮抗薬は、平滑筋細胞の膜電位依存性Caチャネルに結合して、Caの流入を阻害します。Caは筋肉の収縮に必要なイオンであり、その流入が抑えられると筋肉が弛緩します。このため、Ca拮抗薬は平滑筋の収縮を抑え、最終的に便秘を引き起こすことがあるのです。



3. 便秘を改善する食事

便秘改善のためには食事の調整が必要です。

3.1. 食物繊維の重要性
食物繊維は便秘を防ぐために欠かせない栄養素です。食物繊維は水に溶ける水溶性と、水に溶けない不溶性の二種類があります。水溶性は腸内でゲル状になり、便をスムーズに移動させます。不溶性は便の量を増やし、腸を刺激して排便を促します。これらをバランスよく摂取することが大切です。野菜や果物、全粒穀物、豆類に多く含まれます。例えば、キャベツやブロッコリー、リンゴやオートミールなどが良いでしょう。どちらの食物繊維も、日常の食事に取り入れてみましょう。
3.2. バランスの取れた食事
便秘改善には食物繊維だけでなく、栄養バランスの取れた食事が必要です。特にタンパク質や脂肪、ビタミン、ミネラルの摂取も重要になります。毎食に適量の野菜、果物、タンパク質源を取り入れましょう。例えば、魚や肉、豆類、卵は良質なタンパク質を供給してくれます。また、適切な油脂の摂取も腸の滑りを良くする助けとなります。基本的に多種多様な食材をバランスよく組み合わせることが、腸内環境を整える鍵となるのです。
3.3. 食品例とレシピ
便秘改善に効果的な具体的な食品とレシピを紹介します。まず、朝食にオートミールを取り入れてみましょう。ドライフルーツやナッツを加えると食物繊維が豊富です。昼食には、全粒パンのサンドイッチがおすすめです。野菜たっぷりのサンドイッチにすることで、食物繊維が多く摂取できます。夕食には、野菜スープを作ってみてください。キャベツや人参、豆類をたっぷり入れると、栄養バランスも整います。これらのレシピを試して、便秘を改善していきましょう。



4. 水分補給が便秘改善に与える影響

水分補給は便秘改善に重要な役割を果たします。体内の水分が不足すると、腸内の内容物が硬くなり、便秘が引き起こされます。

4.1. 水分摂取の目安
1日に摂取するべき水分量には個体差がありますが、一般的には成人は体重に応じて液体を取り入れるべきです。例えば、体重60キログラムの人は約2リットルの水分が目安となります。気温や活動量に応じて調整が必要ですので、自分の生活スタイルに合わせて適切な量を摂取しましょう。
また、喉が渇く前にこまめに水を飲むことが大切です。喉の渇きはすでに体内が脱水状態に近づいているサインです。適度に水分を取ることで体調を保つことができます。
4.2. 水分不足によるリスク
水分不足は便秘以外にも多くのリスクを伴います。まず、脱水症状が現れやすく、特に夏場や運動後には体の水分が急激に失われます。また、肌の乾燥や頭痛、めまいなどの症状も引き起こします。さらに長期的な水分不足は腎臓に負担をかけ、尿路結石や腎不全のリスクを高めます。
そのほか、血液の粘度が上がり、循環不良を引き起こす可能性があります。これは心臓や脳への負担を増大させ、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めることにつながるでしょう。こうした深刻なリスクを避けるためには、こまめな水分補給が欠かせません。
4.3. 効果的な水分補給方法
効果的な水分補給方法を実践することで、体調管理がより容易になります。まず、一日を通してこまめに水を飲む習慣をつけましょう。一度に大量の水を飲むのではなく、少量を頻繁に摂取することが効果的です。また、食事からも水分を摂ることができます。野菜や果物には多くの水分が含まれており、これらをバランスよく食べることで、体内の水分バランスが保たれやすくなります。
さらに、スポーツドリンクや経口補水液を利用するのも有効です。特に運動後や発汗が多いときには、ミネラルを含む飲料が適しています。また、入浴時や就寝前など、特定のタイミングで水分を摂る習慣をつけることで、意識して水分補給を行うことができます。



5. 便秘を予防するための生活習慣

便秘を予防するためには、日常の生活習慣を見直すことが大切です。

5.1. 規則正しい生活リズム
規則正しい生活リズムを持つことは、便秘予防に非常に効果的です。特に朝食後にトイレに行く習慣をつけることで、腸の動きを活発にすることができるからです。朝食をしっかりとることが大切です。朝食は腸を刺激し、排便を促す効果があります。朝食後の時間を活用して、リラックスした状態でトイレに行くのが良いです。
5.2. 正しい排便姿勢で便秘を改善
正しい排便姿勢を取ることも、便秘の改善に役立ちます。通常の洋式トイレでは、便が出にくくなりがちだからです。足を椅子や台などに乗せて、膝を少し高くすることで、直腸がまっすぐになり、排便がスムーズになります。また、力を入れすぎないように心がけることも重要です。リラックスした状態で、自然に息を吐きながら排便を促すのが理想的です。
5.3. マッサージや運動の取り入れ
マッサージや運動を生活に取り入れることで、便秘の解消が期待できます。腸を刺激するお腹のマッサージは効果的です。お腹を時計回りに優しくマッサージすることで、腸の動きを助けます。また、ウォーキングやヨガなどの軽い運動も腸の働きを活発にし、便秘予防に役立ちます。呼吸を整えながらの運動は、リラックス効果も期待でき、ストレス軽減にもつながります。これらの方法を継続的に取り入れることで、健康的な生活を送りやすくなります。



6. 便秘薬の使用と注意点

便秘薬は、便通を改善するために使用されます。しかし、便秘薬を無闇に使用すると、副作用や依存症を引き起こす可能性があります。

6.1. 市販薬と処方薬の違い
便秘薬には、市販薬と処方薬があります。市販薬は、薬局やドラッグストアで簡単に購入できます。自己判断で使えるため、手軽ですが、効果の違いや副作用にも注意が必要です。また、処方薬は医師の診断に基づいて処方されます。医師の見解をもとに、最適な薬が選ばれるため、より効果的です。そして、副作用のリスクも最小限に抑えられます。つまり、市販薬と処方薬の違いを理解し、適切に使い分けることが大切です。
6.2. 使用時の注意事項
便秘薬の使用時には、いくつかの注意点があります。まず、用量を守ることが重要です。過剰に摂取すると、体に負担がかかります。また、長期間の使用は避けるべきです。体が薬に依存し、自力で便通を促す力が弱まる可能性があります。それから、飲み合わせに注意してください。特定の薬や食品との相互作用があるため、飲み合わせには注意を払う必要があります。
6.3. 医師の指示に従う重要性
便秘薬を使用する際は、医師の指示に従うことが極めて大切です。医師は、患者様の健康状態や体質に合わせて適切な便秘薬を処方します。これにより、副作用のリスクを最小限に抑えることができます。さらに、医師の指示に従うことで治療効果が高まり、便秘の改善が期待できます。したがって、医師の指示を守ることが便秘解消への最短ルートなのです。



7. 大腸カメラの必要性

健康を保つためには、大腸カメラの検査が非常に重要です。

7.1. 薬の副作用と思ったら違う原因もありうる
薬の副作用だと思っていた症状が、実は他の原因によるものである場合もあります。特に便秘や腹痛などは、原因が多岐にわたるため、専門医による診断が必要です。薬を飲んでいるからといって、全てそれが原因とは限らないのです。例えば、食事や生活習慣の変化による影響も考えられます。適切な診断を受けることが、正しい治療への第一歩です。また、他の病気が隠れている可能性もあるため、注意が必要です。
7.2. 便秘が続く場合は大腸カメラも検討
便秘が長期間続くと感じる場合は、大腸カメラの検査を検討することが重要です。便秘の原因が単なる食事や生活習慣によるものではなく、他の病気が関与している可能性もあります。特に大腸のポリープや炎症が原因である場合、早期に発見することで対策が取れます。また、薬では改善が見られない場合は、一度専門家に相談することが推奨されます。大腸カメラを受けることで、原因を明確にし、適切な治療が受けられるようになります。
7.3. 大腸癌が原因で便秘になる事も
大腸癌が原因で便秘になる場合もあります。大腸癌は初期症状がほとんどないため、症状が進行してから気づくケースも少なくありません。便秘と共に、血便や突然の体重減少などが見られる場合は、速やかに医師に相談することが重要です。また、大腸癌が進行すると、大腸内で狭窄が起き、便がスムーズに排出されなくなります。これが便秘の原因となるのです。そのため、特殊な症状が続く場合は、早めの検査と診断が必要です。
7.4. 大腸癌は早期発見が重要
大腸癌は早期発見が極めて重要です。早い段階で発見されれば、治療の選択肢も多く、治療効果も高いことが知られています。特に定期的な大腸カメラの検査を受けることで、無症状のうちに悪性のポリープや初期の癌を見つけることが可能です。これにより、早期に適切な治療が開始でき、予後も良くなります。生活習慣や家族歴、既往歴によってリスクが高い場合は、さらに頻繁にチェックすることが望ましいのです。


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