『鋸歯状病変(SSL)とは?大腸ポリープを解説』|大通り胃腸内科クリニック|札幌市大通りの内視鏡検査・消化器内科

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『鋸歯状病変(SSL)とは?大腸ポリープを解説』

『鋸歯状病変(SSL)とは?大腸ポリープを解説』|大通り胃腸内科クリニック|札幌市大通りの内視鏡検査・消化器内科

         

2024年3月10日

大腸ポリープの一つである「鋸歯状病変(SSL、SSA/P)」が注目されています。その成り立ちや特性、大腸がんとの関連性について、どのように理解し対処すれば良いのでしょうか。この記事では、SSLの基本情報から、適切な診断、予防・治療法についてを説明していきます。

1. 鋸歯状病変(SSL)とは?

近年注目をあつめているのが、大腸ポリープの一種である「鋸歯状病変(Serrated Sesions Lesions, SSL, SSA/P)」です。これは、大腸の内壁に生じる、鋸歯状の形をした特徴的な病変であり、これが大腸がんに変化することもあります。そのため、SSLは内視鏡検査によって早期発見することが大切だとされています。

SSLの場所や、病変の形成には個人差があるため、専門医による的確な診断が必要です。また、SSLが見つかった場合、定期的な検査を行い、経過観察をしながら適切な治療法を選択することが大切です。

1.1. SSLはどのようにして形成されるのか

SSLがどのようにして形成されるのかについて詳しくみていきましょう。SSLは、他のポリープと同様に大腸の粘膜組織における細胞分裂の過程で発生すると考えられています。鋸歯状病変は、その名の通り、粘膜表面がギザギザした「鋸歯(きょし)状」になるのが特徴であり、他の腺腫ポリープとは異なる組織学的特徴を持っています。SSLは大腸の右側(盲腸や上行結腸)に多く見られる傾向がありますが、左側(下行結腸やS字結腸)にも発生することがあるため、全ての大腸への注意が必要です。

1.2. 鋸歯状病変と他のポリープの違い

大腸には様々なタイプのポリープが存在し、それぞれ特徴があります。通常の腺腫ポリープは、滑らかな表面をした良性の腫瘍で、組織学的に「腺」のパターンを形成しています。一方で、SSLの表面は鋸歯状になっています。この違いは、大腸内視鏡検査時に医師が区別し、組織学的な検査を必要とするポイントとなります。

1.3. 大腸癌とSSLの関連性

SSLは特に高度な鋸歯状病変である場合には、大腸がんへの進行リスクが高いとされています。大腸がんへの癌化は徐々に進行しますので、早期発見が求められます。

こうしたリスクを最小限に抑えるためには、定期的な大腸内視鏡検査を受けることや、SSLを早期に発見し、適切に切除することが重要とされています。がんの予防は早期発見・早期治療から始まるため、定期検診の受診を推奨しています。

SSLに合併する大腸癌の特徴として、右側結腸に多い、高齢女性に多い、多臓器癌の合併が多い等があります。

2. ポリープの種類とそれぞれの特徴

大腸ポリープにはいくつかの種類があり、それぞれ独自の特徴をもっています。その中でも、大腸癌に進行するリスクがあるポリープとして注意が必要なのが腺腫やTSA(Traditional serrated adenoma)、SSLです。これらは大腸内視鏡検査によって見つけ出され、場合によっては切除されることで癌の発症リスクを抑えることができるのです。それぞれのポリープには異なる特徴があり、診断や治療方針を決定する上で大変重要な役割を担います。この章ではSSL以外の腺腫やTSAについて解説します。

2.1. 腺腫

腺腫は大腸ポリープの中で最も一般的に見られるタイプであり、大腸癌への進行リスクが比較的高いことで知られています。腺腫の大きさ、数、組織学的な特徴は、進行のリスクを評価する上で重要な要素になります。診断された場合には、大腸内視鏡を通じて切除することが推奨されることが多いです。早期発見による切除が予防医学の観点からもきわめて重要なのです。

2.2. TSA(Traditional serrated adenoma)

TSAは、従来の腺腫とは異なり、縦じま状に配置された鋸歯状の腺組織が特徴的なポリープです。特に直腸や下行結腸に見られる傾向があります。TSAは見つけにくいことでも知られており、精密な観察と経験による判断が必要です。TSAも通常の腺腫と同様に内視鏡治療が推奨されます。それによって大腸癌の発症リスクを低減させることが可能になるわけです。

3. SSLの診断方法と役割

SSLとは、鋸歯状病変(Sessile Serrated Lesions)の略称であり、大腸に生じるポリープの一種です。SSA/Pとも呼ばれます。これらは大腸癌への進行リスクを持っているため、早期発見と適切な診断が重要となります。診断方法には大腸内視鏡検査が主に用いられますが、SSLは平坦である事が多いので、他の腺腫性ポリープと比較して見つけにくい特徴があります。そのため、内視鏡医の経験と熟練度が非常に重要とされており、内視鏡の画像診断に加えて生検や病理学的評価が行われます。SSLの管理においては、定期的な内視鏡検査が推奨され、ポリープの大きさや数、形状によってリスク評価をし、適切な治療方針を決定します。

3.1. 大腸内視鏡によるSSLの検出

大腸内視鏡は、SSLを含む大腸ポリープの検出に不可欠なツールです。SSLはその平坦な形状と同化しやすい色調のため、内視鏡医が特に注意を払わなければ見過ごされがちです。そのため、特殊な波長のライトや拡大鏡を使うなどの工夫が必要となります。また、SSLの位置によっては、検出が困難なケースもあります。たとえば、大腸の曲がり角やひだに隠れている場合には、内視鏡の角度を調整しながら慎重に検査を行う必要があります。内視鏡医は、SSLの特徴を理解し、観察と識別に精通していなければなりません。内視鏡によるSSLの検出は、大腸癌予防の第一歩であるため、熟練した技術と確かな判断が求められています。

3.2. SSLのリスク評価と管理

SSLのリスク評価は、大小様々なポリープの中から高リスクのものを判別し、適切な治療を施すために重要です。診断されたSSLのサイズ、位置、数、癌化の有無により、リスクの度合いが評価されます。例えば、直径が大きい、または複数存在するSSLは、癌への進行リスクが高いとされています。そして、リスクの高いSSLに対しては、迅速な切除が推奨される場合があります。SSLの診断後は、患者に合った管理プランが立てられ、定期的なフォローアップ検査が行われることが多いです。これらの管理は、適切な治療介入により、将来の大腸癌リスクを軽減するために非常に重要です。

4. 大腸癌とポリープ:リスク要因を知る

大腸癌は日本でも有数の発症率を誇り、その予防や早期発見が大変重要視されています。大腸癌の発生には様々な要因が関わっており、その中にはポリープがあります。ポリープとは、大腸の内壁にできる突起状の肉芽で、良性のものからがん化する恐れがあるものまで幅広いタイプが存在します。これらの中でも特に鋸歯状病変(SSL)は、大腸癌へと発展する可能性を持っているため注意が必要です。大腸癌とポリープのリスク要因を理解することは、予防と早期発見のために不可欠です。

4.1. 食生活と大腸癌の関係

食生活は大腸癌発生のリスクに大きな影響を与えます。特に、食物繊維の摂取が不足すると、便の通過時間が長くなり、有害物質が大腸の壁に触れる時間が長くなることで、発癌のリスクが高まるとされます。一方で、赤肉や加工肉の過剰摂取は大腸癌のリスクを高めるとも言われています。バランスの良い食事、特に野菜や果物などの食物繊維を多く含む食べ物を積極的に摂取することが推奨されています。また、アルコールの過度な摂取や肥満も大腸癌のリスクを上げる要因として知られているのです。

4.2. 遺伝と大腸癌発生のリスク

遺伝的な要素は大腸癌の発症において見逃せないリスク要因の一つです。家族歴、特に直系親族に大腸癌の既往がある場合、自身も癌になるリスクが高まるとされています。また、遺伝性のポリポーシス症候群といった疾患を持つ人は、極めて高い確率で大腸癌を発症します。これらの場合には、早期からの定期検査が必要となり、遺伝的リスクを把握し、適切な予防策を講じることが肝心です。

4.3. 生活習慣と大腸癌予防策

日頃の生活習慣が大腸癌を予防するうえで大変重要です。定期的な運動は便通を改善し、大腸の健康を維持するうえで効果的です。禁煙や節酒など、有害な習慣を見直すことも、大腸癌予防に寄与します。また、ストレス管理も大腸の健康を守るためには重要であり、日々のストレスを適切に処理するための方法を見つけることも予防策となります。さらに、定期的な大腸内視鏡検査により、ポリープの早期発見・早期治療に繋げることができるのです。

5. 大腸内視鏡:不安を和らげるポイント

大腸内視鏡検査は、様々な大腸疾患を発見するための重要な検査ですが、多くの人が不安を抱えていることも事実です。しかし、適切な情報を知り、心の準備をしておくことで、その不安を大きく和らげることが可能です。検査の目的や流れを理解し、正しい準備を行うこと、さらに検査後のケアについても知識をもつことが重要になります。この章では、大腸内視鏡検査への不安を軽減するためのいくつかのポイントについてご説明します。

5.1. 大腸内視鏡検査の流れ

大腸内視鏡検査は通常、病院の外来で実施されます。まず、予約日が決まったら、検査の2-3日前から指示された食事制限に従い、繊維質を多く含んだ食事は避けるなどの準備を開始します。検査の前日は、より厳しい食事制限が加わり、夜には下剤を服用して大腸をきれいにする必要があります。当日は、まず服を着替え、検査の説明を受け、鎮静剤を使う場合は医師と相談の上で準備します。検査は、専用の内視鏡を肛門から挿入し、大腸内を観察しながら進めていきます。ポリープが見つかった場合には、その場で切除することもあります。検査時間は約20分から1時間程度で、検査後はしばらく休憩した後に帰宅できるケースが多いです。

5.2. 検査前の準備:清涼感と食事制限

大腸内視鏡検査の成功の鍵は、大腸内部を清潔かつ詳細に見ることができるようにすることです。そのためには、検査数日前から食事の内容に注意しなければなりません。具体的には、食物繊維の高い食材を避け、消化の良い食事にします。検査前日には、通常、透明な液体しか摂取できず、清涼感のあるゼリーやアイスクリームなどが推奨されることがあります。また、下剤を使った大腸の洗浄は、検査の成否に直結するため、指示された方法で正確に行うことが重要です。

5.3. 検査後の注意点とケア

大腸内視鏡検査後は、腸内の空気が抜け去るまでの間、お腹に違和感を感じることがありますが、これは普通のことです。鎮静剤の影響で眠気がある場合もあり、安全のため、検査当日の自動車の運転は避けるべきです。もしポリープを切除した場合には出血や痛みが起こる可能性もあるため、症状に注意し、異常を感じたら直ちに医師に連絡を取ることが求められます。また、通常の食事に戻す前に、簡単に消化できる食事から始めることも重要です。適切な再検査の間隔を守り、定期的なフォローアップを行うことも、大腸健康を保つためには不可欠です。

大腸検査の疑問は下記サイトをご参照下さい

6. SSL切除手術:手順と期待される効果

大腸に発生する鋸歯状病変(SSL)は、がん化する可能性があるため、早期に治療する事が推奨されます。SSLの切除は、主に大腸内視鏡を用いた内視鏡的切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)によって実施されます。これらの治療は外科的治療と異なり短時間の処置で済むため、回復期間も短く、身体的負担が少ないのが特徴です。期待される効果は大腸癌の予防だけでなく、早期にポリープを除去することで発症リスクを減少させることにあります。

6.1. 大腸ポリープの切除方法

大腸ポリープの切除方法にはいくつかの技術がありますが、最も一般的であるのは内視鏡的切除術です。内視鏡を肛門から挿入し、ポリープがある場所まで到達したら、スネアという特殊な器具を使用してポリープの基部を縛り上げ、切除します。この方法は、小さなポリープに対して行われることが多いです。一方で、より大きなポリープや、がん化している可能性がある場合は、内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が選ばれることがあります。ESDでは、切除範囲を広く取り、周囲の健康な組織にダメージを与えるリスクを最小限に抑えることができます。SSLのような特殊なポリープの場合は、これらの方法に加え、組織の特性に応じた適切な手技が選択されるため、担当医としっかりと相談することが大切です。

6.2. SSLを切除する意義

SSLの切除は、大腸癌予防のみならず、患者の質の高い日常生活を維持するためにも非常に重要な役割を担います。SSLはそのままにしておくと、徐々に大きくなり、症状を引き起こすことがあります。また、がん化のリスクも伴うため、早期に発見し、適切に切除することで、これらの問題を未然に防ぐことができるのです。切除された組織は病理検査に提出され、悪性の有無や進行度を評価するための重要な証拠になります。これによって、今後の治療方針やフォローアップ計画を立てる際の指針となるので、SSLを切除することの意義は非常に大きいと言えるでしょう。

6.3. 切除後のフォローアップとは

SSLが切除された後のフォローアップは、再発の有無を確認し、患者の健康状態を長期間にわたって監視するために不可欠です。通常、切除後は定期的に大腸内視鏡検査を行い、残存しているポリープや新たに形成されたポリープがないかをチェックします。検査の間隔は、切除したポリープの種類や大きさ、数、患者の全体的なリスク因子などに応じて決定されます。また、医師は患者に対して食生活の変更や運動習慣の改善など、大腸癌のリスクを減らすための指導を行うことがあります。切除後の生活においては、適切な栄養摂取や規則正しい生活リズムを心がけることが、再発防止に繋がると考えられています。

大腸ポリープとは

7. SSLと向き合う:患者と家族のためのガイド

鋸歯状病変(SSL)は、大腸癌につながるおそれがあるため、患者さんだけではなく、家族のサポートも非常に重要です。まずは、正しい理解をもって病状に向き合うことが必要です。それには、SSLの性質や、どのようにして発展するのか、そしてどのように対処すればよいのかを知る必要があります。ここでは、患者と家族が知っておくべき情報について、専門家の知見に基づいたガイドをご紹介します。知識を深めることで、治療への不安を軽減し、前向きな姿勢を保つサポートにつながります。

7.1. 大腸癌予防できる生活習慣の紹介

大腸癌の予防には、日々の生活習慣がとても関係してきます。たとえば、食事では食物繊維を多く含む野菜や果物を積極的に摂取することが推奨されています。また、加工肉や赤肉の摂取量を減らすことも予防につながるとされるのです。さらに、適度な運動を日常に取り入れることで、体内の新陳代謝を活性化し、体の抵抗力を高める効果が期待できます。喫煙や過度のアルコール消費もリスク要因とされるため、これらの習慣を見直すことも予防策の一つとなります。日々の小さな習慣が大きな健康をつくるのです。

7.2. 支える家族へのアドバイス

SSLの診断を受けた患者さんを持つ家族は、まずは冷静に情報を集め、専門医とのコミュニケーションを密にすることが大切です。患者さんの状態を正確に理解することで、適切なサポートが可能となります。また、患者さんが心身ともに安定して治療に専念できるよう、生活面での支えが不可欠です。さらに、家族自身も精神的ストレスを抱えがちですので、十分なケアや心のケアをすることも忘れてはなりません。家族もまた、一緒に病と向き合っている重要なメンバーなのです。

7.3. 治療過程での心のケア

治療を受ける患者さんの精神状態は、病気との戦いだけでなく、家族の支えや医療スタッフとの関係性にも大きく影響を受けます。治療中は不安やストレスが積み重なることがあります。また、治療の進展に合わせて、小さな成功を祝い、ポジティブな気持ちを保つことも心のケアの一環です。患者さんの心の声に耳を傾け、一歩一歩をしっかりと支えることが、治療の成功へとつながるのです。

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