2026年2月21日

――刺身の旨さの代償か、それとも油断か。胃之頭、胃の激痛と向き合う

目次
その日は、少しだけ贅沢をした
仕事を終えた帰り道。
ふと、魚が食べたくなった。
(心の声)
「今日は……刺身だな」
暖簾をくぐる。
カウンターに座る。
運ばれてきたのは、艶のある刺身の盛り合わせ。
マグロ、サーモン、そしてイカ。
(心の声)
「いい色だ……これは当たりだ」
醤油に少しだけつけて、口へ運ぶ。
(……)
(心の声)
「うまい」
脂、歯ごたえ、そして静かな甘み。何も言うことはない。
異変は、食後しばらくしてから来た
店を出て、しばらく歩いた頃。
(……?)
胃の奥に、違和感。
(心の声)
「なんだ……?」
痛み、とまではいかない。
だが、確実に“何か”がある。
時間が経つにつれて、それは変わっていく。
違和感・・・不快感 ・・・痛み。
そして――
(心の声)
「……これは、まずいな」
刺すような痛みが、波のように押し寄せる。
夜中、増していく痛み
帰宅後も、痛みは引かない。
横になる。
だが、楽にならない。
(心の声)
「胃が……掴まれているみたいだ」
一定ではない。周期的に、強くなる。
(心の声)
「食あたり……いや、違うな」
頭の中に、ひとつの言葉が浮かぶ。
──アニサキス。
アニサキス
アニサキスとは何か
生の魚介類に寄生する寄生虫。
体内に入ると、胃や腸に刺さり、激しい痛みを引き起こす。
・数時間後に突然の激痛
・みぞおちの強い痛み
・波のように繰り返す
まさに、今の状態だ。
(心の声)
「これは……当たりを引いたな」
嬉しくない方の“当たり”だ。
痛みは我慢できるレベルではない。
朝になっても痛みは消えない。
むしろ、鋭さを増している。
(心の声)
「これは……行くしかない」
向かったのは、消化器内科。
WEBで朝一番の予約。
受付を済ませ、診察室へ
簡単な問診。
「何か生ものは食べましたか?」
(心の声)
「やはり、そこか」
「アニサキスの可能性がありますね。胃カメラで確認しましょう」
胃カメラ――
その言葉に、一瞬ためらいがよぎる。
「苦しいんじゃないか?」
そんな不安を見透かしたかのように、医師は続けた。
「鎮静剤を使えば、眠っている間に終わりますよ」
胃カメラという“即効性のある解決策”
アニサキスは、薬ではすぐに消えない。
だが――
胃カメラなら直接取り除くことができる。
(心の声)
「つまり……見つけて、取る」
シンプルだが、確実な方法。
検査室――
点滴が準備され、鎮静剤がゆっくりと流れ込む。
「少しぼーっとしてきますよ」
その言葉を最後に――
意識は、ふっと遠のいた。
・・・・・。
・・・・・・・・・。
「胃之頭さん、終わりましたよ」
その声で目が覚める。
時間の感覚はない。
だが確かに、あの激痛は消えていた。
「やっぱりアニサキスでした。胃の中にいましたので、内視鏡で取りました」
(心の声)
「やはりな」
納得と、安堵。この二つが同時に来る。
画像に映る、小さな白い虫。
あれが、あの痛みの正体。
そして同時に思う。
「……もう終わったのか」
苦しさも、恐怖も、ほとんど記憶にない。
ただ、気づいたら治っていた。
それが、“鎮静剤を使った胃カメラ”だった。
刺身は悪くない。ただ、知っておくべきこと。
誤解してはいけない。
刺身は悪くない。
むしろ、日本の食文化の宝だ。
だが――
リスクがゼロではない。
・新鮮でも起こる
・見た目では分からない
・誰にでも起こりうる
だからこそ、知っておくことが大切だ。
胃カメラは“原因を即座に解決する手段”
今回のように、
・原因が明確
・物理的に存在する
場合、胃カメラは非常に強い。
ただ見るだけではない。
“治療”にもなる検査だ。
我慢しないという選択
もしあのまま我慢していたら。
痛みは数日続いていた可能性もある。
(心の声)
「早く来て正解だったな」
違和感や痛みには、理由がある。
そしてそれは、確認すれば解決できることも多い。
ーーーーそしてまた、食べる日常へ
数日後。
再び、食事の時間。
(心の声)
「……さて」
箸を取る。
少しだけ、慎重になる。
だが――
(……)
(心の声)
「うまい」
やはり、食べることはやめられない。
最後に ── 孤独のカメラは続いていく
一話ごとに完結しながら、静かに積み重ねられていく物語がある。
『孤独のカメラ』もまた、一度きりで終わるものではない。
腸を整え、胃を清める。
そうしてまた、何の変哲もない――だが、かけがえのない
日常の食事へと戻っていく。


