2025年6月05日

札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニック院長の福田です。

今回のコラムは腸内細菌についてです。

『腸内細菌は母親と似た細菌叢になる』と聞いた事はありますか?

この興味深い腸内細菌の親子間伝播のメカニズムと、それが私たち人間の健康に、特に大腸の健康にどう影響するのかについて、深く掘り下げてお話ししたいと思います。

そして、腸内環境の重要性を知る皆さまに、当院がどのように皆さまの大腸の健康を守り、未来への安心を提供しているかをお伝えできれば幸いです。

目次
1.腸内細菌は「母から子への贈り物」

腸内細菌の数は100種類以上、細胞数は数百兆個にも及ぶと言われています。

では、腸内細菌叢(腸内フローラ)は、どのようにして形成されるのでしょうか?

出生時の「ファーストコンタクト」
胎児はお母さんの胎内にいる間は基本的に無菌状態にあると考えられています。しかし、出産時に赤ちゃんは初めて様々な細菌に暴露されます。この「ファーストコンタクト」こそが、赤ちゃんの腸内細菌叢形成のスタートなのです。

出産方法がカギを握る
赤ちゃんが初めて出会う細菌の種類は、経膣分娩か帝王切開かによって異なります。
経膣分娩の場合、赤ちゃんは母親の産道を通る際に、そこに付着している腸内細菌(を受け取ります。このプロセスを通じて、母親の腸内細菌のバランスが良いほど、生まれてきた赤ちゃんの腸内細菌のバランスも良くなる可能性が高いのです。
一方、帝王切開で生まれた赤ちゃんは、経膣分娩とは異なる経路で細菌に暴露されるため、腸内細菌叢の構成に違いが生じることが報告されています。

母乳の役割
出産後も、母乳は赤ちゃんの腸内細菌叢の形成に影響を与えます。母乳中のビフィズス菌株と同一の系統株が新生児の便から分離されることが確認されており、母親の腸内細菌が母乳を介して新生児へ伝播する可能性が議論されています。

その後の影響
生後直後から離乳期にかけての環境因子が、腸内細菌叢の形成に重要な影響を及ぼすと考えられています。食事や抗生物質の使用なども、その後の腸内細菌叢に影響を与えます。



2.腸内細菌のバランスと健康リスク:特に大腸がんとの関連

腸内細菌叢のバランスは、私たちの全身の健康と密接に関わっています。

このバランスが乱れると、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。特に、消化器疾患、中でも大腸がんとの関連については近年、注目すべき研究結果が報告されています。

2.1.アルコール摂取が腸内環境に及ぼす影響
多くの方が嗜むアルコールですが、常習的な飲酒は腸内環境を悪化させる可能性があり、これが大腸ポリープや大腸がんのリスク因子となると指摘されています。
善玉菌の減少と有害物質の生成 アルコールを分解する過程で産生されるアセトアルデヒドや活性酸素は、腸内の善玉菌(ビフィズス菌や酪酸菌など)を減らし、腸内環境の悪化を招くと言われています。

2.2.特定の腸内細菌と大腸がんの発がん要因
最近の研究では、特定の腸内細菌が大腸がんの発がん要因となる可能性も示されています。
国際共同研究による大腸がんの全ゲノム解析では、日本人大腸がん患者の約5割に特徴的な腸内細菌による発がん要因が確認されました。特に、「コリバクチン毒素」による変異シグネチャーが高頻度で確認されており、この変異シグネチャーの量が国別の発症頻度と相関していることから、日本における大腸がん増加の重要な要因である可能性が示唆されています。
さらに注目すべきは、このコリバクチン毒素による変異シグネチャーが若年者大腸がんの症例に多いことです。近年、国際的にも問題となっている若年者大腸がんの大きな要因の一つであると考えられています。これは、食生活の欧米化やライフスタイルの変化が主な要因とされており、若年層での大腸がん増加に繋がっている可能性があります。

2.3.肥満と大腸ポリープ・大腸がんの関係
肥満もまた、大腸ポリープや大腸がんのリスクを高める要因として多くの研究で指摘されています。過剰な体重は腸内の炎症を促進しやすくなるため、肥満の予防や改善が大腸ポリープの発生を減少させる可能性があるのです。適度な運動とバランスの良い食事が、予防に繋がります。

2.4.食物繊維の重要性
腸内環境を良好に保ち、大腸がんを予防するためには、食物繊維の積極的な摂取が非常に重要です。

しかし、日本の厚生労働省のデータによれば、日本人の食物繊維平均摂取量は1日あたり約14グラム前後と推定されており、成人推奨量(18~64歳で男性21g以上、女性18g以上)を下回る傾向にあります。

米国がん研究協会は、がんのリスクを下げるには少なくとも1日あたり30グラムの食物繊維を摂取するよう推奨しています。

食物繊維を多く摂ったとしても大腸がんの予防効果がさらに上がるわけではないという研究もありますが、極端に少ない人では大腸がんのリスクが高くなる可能性が指摘されています。



3.大腸カメラの重要性:お子様のためにも、ご自身の健康を

このように、腸内環境と大腸の健康は密接に結びついております。

そして、家族間での健康習慣の伝播を考えると、親世代が自身の健康管理に積極的に取り組むことこそが、お子様の未来の健康を守る第一歩となると言えるでしょう。
特に、大腸がんの早期発見と予防は、非常に重要な課題です。しかし、厄介なことに、初期段階では自覚症状がほとんどなく、進行するまで気づかないことが多いのです。

3.1.大腸カメラで何がわかる?がん予防の要諦

大腸カメラ検査では、以下のようなことが可能です。
・腸管内の詳細観察
・大腸癌の早期発見
・大腸ポリープの切除

現在、大腸がんの罹患率は年々増加しており、女性では死亡者数の第1位、男性では肺がんに次いで第2位となっています。定期的な大腸カメラ検査を受けることは、無症状のうちにがんやポリープを見つけ出し、病気の進行を防ぐために不可欠な自己管理の一環と言えるでしょう。



4.札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックが選ばれる理由

当院は、北海道における大腸がん死亡率の減少を使命とし、日々診療に励んでおります。

私たちは、患者様が安心して検査を受けていただけるよう、様々な工夫を凝らしています。

4.1.「痛くない」「苦しくない」を追求した検査

当院では、検査に対する不安を最大限に軽減するための取り組みを行っています。

熟練の専門医による検査
当院では、経験豊富な医師が、患者様の体の状態を把握しながら、「痛くない」を追求した高度な技術で検査を行います。

鎮静剤(麻酔薬)の使用
検査中の苦痛や不快感を大幅に軽減するため、鎮静剤(麻酔薬)を用いた「無痛大腸カメラ検査」を提供しております。

炭酸ガスの使用
大腸カメラ検査で腸管を膨らませる際に、空気の代わりに炭酸ガスを用いています。炭酸ガスは腸管内で速やかに吸収されるため、検査後のお腹の張りや痛み、違和感を和らげることができます。

4.2.忙しい方にも便利な検査体制
お仕事や育児、介護などで忙しく、なかなか検査の時間が取れないという方も多いことでしょう。
土曜日・日曜日も検査可能
当院は、札幌では数少ない土曜日・日曜日も大腸カメラ検査を実施しているクリニックです。平日に時間が取りにくい方でも、週末を利用して無理なく検査を受けていただけます。

胃カメラ・大腸カメラ同日検査
胃カメラと大腸カメラの両方の検査が必要な方には、同日検査も可能です。これにより、食事制限や時間的拘束、運転の制限といった負担を1日で済ませることができ、時間的・経済的なメリットも大きいです。

駅チカの好立地とオンライン予約
当院は大通駅から徒歩30秒という抜群の立地にあり、通勤・通学帰りやお買い物のついでにも気軽に立ち寄っていただけます。また、WEB予約システムを導入しており、24時間いつでも予約が可能です。事前にWEB問診を記載いただくことで、当日の診察もスムーズに進みます。



5.健康な未来のために:札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックからのメッセージ

お子様の健康を願う皆さまにとって、ご自身の健康もまた、その未来を支える大切な基盤です。

腸内細菌の親子間伝播という視点から、改めてご自身の生活習慣と大腸の健康を見つめ直すきっかけとなれば幸いです。
大腸がんの予防と早期発見には、生活習慣の改善と定期的な検査が不可欠です。

バランスの取れた食生活:
野菜、果物、全粒穀物など食物繊維を豊富に含む食品を積極的に摂取し、赤身肉や加工肉の摂取は控えめにしましょう。

適度な運動:
定期的な運動は腸の働きを活発にし、肥満予防にも繋がります。

禁煙・節酒:
喫煙や過度の飲酒は大腸がんのリスクを高めます。

適切な体重維持:
肥満は大腸がんのリスク要因の一つです。

定期的な大腸がん検診:
40歳を過ぎたら、症状がなくても定期的に便潜血検査を受けることが推奨されています。そして、便潜血検査で陽性が出た場合は、必ず大腸カメラによる精密検査を受けましょう。

私たち札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックは、患者様一人ひとりの健康を真剣に考え、「痛くない」「苦しくない」「恥ずかしくない」検査を提供できるよう、日々努力を重ねております。最新の医療設備と経験豊富な専門医、そして温かいスタッフが、皆様の健康をサポートいたします。


大腸内視鏡検査は札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックがおすすめです!


