2025年12月02日

こんにちは!札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニック栄養士の田中です!
突然ですが、皆さんは「今日の便、どうでしたか?」と聞かれたらどう答えますか?
「そんなの気にしていない」
「見ないようにしている」
「臭かったかも…?でも気のせいかな」
おそらく、多くの方が便の状態について深く考えることはないかもしれません。
ですが、実は腸の世界では、”便はあなたの体調を毎日教えてくれる最強の健康レポート”なのです。
便を見ることで分かるのは、単に「出た/出ない」だけではありません。
・食べたものが身体に合っていたのか
・腸が疲れていないか
・ストレスが溜まっていないか
・水分は足りていたか
・腸内細菌のバランスがどう変わっているのか
こうした身体のサインが、便の形・硬さ・色・匂いといった“見た目”に驚くほど正直に現れます。
普段はあまり意識しないかもしれませんが、便は毎日あなたと一緒にいて、黙って腸の状態を教えてくれる大切なメッセンジャーです。
もしも毎朝そのメッセージを無視していたとしたら、それはとてももったいないこと。
なぜなら、便を正しく読み解けるようになると、便秘や下痢などのお悩みを早めにキャッチし、日々の食事選びで改善できるようになるからです。
そこで今回のブログでは、多くの医療機関で使用されている「ブリストル便形状スケール(便の種類一覧)」を詳しく説明しながら、食べ物がどのように便をつくり、便を見れば何が分かるのか”を徹底的に解説します。
「今日の便を見ただけで、明日の食事が決まる」
そんなふうに体調管理ができるようになれば、腸はもちろん、心も身体も驚くほど軽くなります。
この記事を読み終える頃には、
・今の腸の状態がどうなっているか
・どんな食事が足りていないのか
・明日は何を食べればもっと快調になるのか
こうしたことを、日々の食生活に活かせるはずです。
便はあなたの身体の“最終メッセージ”。
さあ、一緒にそのサインを読み解き、腸から健康をつくる習慣を身につけていきましょう。
ぜひ、最後までご覧ください。
目次
1. 便は“腸からの最終報告書”――どうやって作られている?
便はただの“食べカス”ではありません。便の内訳を見てみると…
・水分 70%
・食べかす 20%
・腸内細菌・腸粘膜 10%
つまり、便の大部分は “水”。そして、腸内細菌と腸粘膜が思っている以上に多く含まれています。
便を観察するとわかることは、実はとても多いのです。
硬さ → 食物繊維と水分
色 → 胆汁の動き・食事内容
臭い → 腸内細菌のバランス
量 → 食事量・腸の動き
形 → 腸管の状態
だからこそ、便は健康の指標として非常に優秀。
食べたもの、生活リズム、ストレス…。これらの影響を「便は嘘をつかずに」教えてくれます。
2. 食べ物と便の関係――何を食べるとどう変わる?
便の質は“腸”が作りますが、その腸を作っているのは毎日の食事です。代表的な食材の影響を解説します。
● 野菜・海藻・きのこ(食物繊維)
食物繊維は便の質の主役。
・不溶性食物繊維 →便のかさを増やす(野菜・きのこ・豆類など)
・水溶性食物繊維 →便に水分を与えて柔らかくする(海藻・果物・大麦など)
食物繊維が不足した状態で、どんなに水分摂取しても 硬い便 or 出にくい便 になります。
● 肉類中心の食事
過剰な肉は腸内で“腐敗”し、臭いの強いガスの原因に。
肉中心の食事が続くと…黒っぽい便コロコロ便強い臭い膨満感などが起こります。「なんか最近臭いが強い…」その時は、肉だけでなく 野菜や海藻の不足 を疑ってください。
● 脂質が多い食事(揚げ物・ラーメン)
脂質の摂り過ぎは腸の動きを早くし、吸収されなかった油がそのまま大腸へ。結果…水っぽい便ベタつく便浮く便トイレで油が広がるこうした症状が続く方は、肝臓や胆のうの疲れが隠れていることも。
● 発酵食品(ヨーグルト・納豆・キムチ)
腸に善玉菌を届け、便を整えてくれる食品。発酵食品1種を毎日食べている人は、便が安定しやすい傾向があります。
3. 便の種類一覧
ブリストルスケールで自分の腸を知る医療現場で使われている「ブリストル便形状スケール」7種類の形から腸の状態が判断できます。
◆ 便の種類一覧(ブリストル便形状スケール)
タイプ1:硬いコロコロ便(ウサギの糞)
・便秘の最重度サイン
・食物繊維と水分が大幅不足
・腸に長時間留まった便
タイプ2:太く硬いゴツゴツ便
・排便時に痛みを伴うことが多い
・便秘傾向が強い
タイプ3:表面にひび割れのあるバナナ型
・やや硬いが比較的良い
・水分がやや不足
タイプ4:理想的!滑らかなバナナ型
・するっと出る
・トイレットペーパーがほとんど汚れない
・適切な食物繊維
・十分な水分
→ 最も健康的な便
タイプ5:半分バラバラの柔らかい便
・食物繊維が不足気味
・肉・油が多い場合も
タイプ6:泥状の柔らかい便
・腸が過敏脂質が多い食事
・冷たい飲み物
・ストレス性
タイプ7:水のような下痢
・感染や炎症の可能性
・脱水に注意
→ 頻繁に繰り返す場合は早めの受診を!
◆ 便の色が教えてくれること
・黄土色:理想的
・黒:鉄剤/海藻/出血の可能性
・緑:野菜・鉄分の影響/消化スピードが速い
・赤:食材(赤味の強いビーツなど)もしくは血液
・白:胆汁トラブルの可能性(受診推奨)
◆ 便の臭いからわかること
腐敗臭 → 肉過多・悪玉菌増加
酸っぱい → 発酵が強い
4. 今日の便から「明日の食事」を決める方法
便は毎日の健康チェック表。今日の便を見て、明日の食事を調整するだけで腸の調子は劇的に変わります。
● 便が硬い(タイプ1~2)
原因
・水分不足
・食物繊維不足
・運動不足
明日の食事ポイント…野菜・海藻・水分・油分を増やすことが必須
・朝コップ一杯の水
・サラダ+海藻+味噌汁・オリーブオイル小さじ1
・ヨーグルト+バナナ
● 便が柔らかい(タイプ6~7)
原因
・脂質過多
・ストレス
・腸の炎症
明日の食事ポイント…温かい食事で胃腸を休めるが大切
・お粥、雑炊、うどん
・温かい飲み物
・揚げ物・乳製品は控えめに
● 臭いが強い(肉中心生活)
明日の食事ポイント
・野菜は“両手山盛り”
・発酵食品1品
・きのこ・海藻の追加
5. 腸が喜ぶ“理想の1日食事例
朝:オートミール(大麦βグルカンで腸が整う)ヨーグルト+きな粉・わかめと豆腐の味噌汁
昼:焼き魚 ・豆腐・海藻サラダ
夜:きのこと鶏肉の炒め物・蒸し野菜・もち麦ご飯・納豆 or キムチ
これを数日続けると、便の形・量・におい・色が徐々に変化していきます。
6. 便を“見る習慣”があなたの健康を守る
便をチェックすることは、身体と向き合うこと。食事の偏り・ストレス・睡眠不足・水分不足
すべて便に反映されます。
まとめ
今日の便を振り返り、明日の食事を少し変えるだけで、腸は必ず応えてくれます。
便は「結果」ではなく、あなたの食生活や生活リズム、ストレス、腸内細菌の働きが集まってできた“日々の健康の通信簿”です。だからこそ、ぜひ毎日ほんの数秒でいいので、「今日の便、どうだったかな?」と自分に問いかけてみてください。硬さはどうだったか、量は足りていたか、スッキリ出たか、匂いは強くなかったか。こうした小さな変化こそが、腸からの大切なメッセージです。腸は、私たちの心と体をつなぐ臓器とも言われています。最近では、腸内環境と免疫力、メンタルの安定、睡眠の質、美肌、さらには太りやすさとの関係まで明らかになってきています。つまり腸の声を聞くことは、未来の健康を先取りする“最強のセルフケア”なのです。
食べるものに気をつけていても…
しかし一方で、便の変化の中には、食事で改善できるものだけでなく、大腸ポリープ・炎症性腸疾患・大腸がんなどの病気のサインが隠れていることもあります。
便が急に細くなった・黒っぽい便が続く・血が混じる・お腹の張りや痛みが長引く・最近便秘と下痢を繰り返す・体重が減ってきたこうした症状は、決して見逃してはいけない腸からのSOSです。
もし「いつもと違うな」「何となく気になるな」という便の変化が続く場合は、どうか無理に自己判断せず、一度専門医に相談してください。
札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックでは、胃カメラ・大腸カメラ・大腸ポリープの日帰り切除・便秘・下痢の専門外来など、腸の状態を正確に把握し、必要に応じて適切な治療をご案内しています。
特に、大腸カメラは「検査が怖い」「痛そう」「恥ずかしい」というイメージを持たれがちですが、当院では鎮静剤を使用した“眠っている間に終わる”負担の少ない内視鏡検査を行っておりますので、初めての方でも安心して受けていただけます。腸の不調は、早く気づくほどすぐに改善できます。
そして、病気の早期発見にもつながります。毎日の便を観察し、必要なときにきちんと検査を受ける。この2つが、あなたの腸を健康に保つ最強の習慣です。腸は、あなたが丁寧に向き合ってあげれば、必ず応えてくれる臓器です。どうかこれからも、あなたの体が発信する小さなサインに耳を傾けてあげてくださいね。
札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックは、札幌市大通駅徒歩30秒の好立地で、鎮静剤使用で苦痛が少ない、専門医による精度の高い大腸カメラ検査を土日も提供しております。
皆様のお腹の悩みにしっかり寄り添い、丁寧にサポートいたします。
本記事をお読みいただきありがとうございます。何かご不明な点や、お悩みがございましたら、札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックまでお気軽にご相談ください。


