2025年10月09日

こんにちは!札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニック事務長の高橋です!
最近、生の魚介類を食べて数時間後に、突然の激しい腹痛や吐き気に襲われて不安になった経験はありませんか?
その痛みはもしかするとアニサキスが原因かもしれません。
アニサキス症は、新鮮な魚介類を好む日本人にとって、身近でありながらも恐ろしい食中毒です。
特に、その痛みの激しさから、「もう二度と経験したくない」と多くの方が口にします。
この記事では、読者の皆様が抱える「アニサキスってどんな寄生虫なの?」「どんな症状が出るの?」「予防法は?」「病院ではどうやって治すの?」といった疑問や悩みをすべて解決します。
アニサキス症の原因や症状から、ご自宅でできる具体的な予防対策、そして当院が得意とする内視鏡(胃カメラ)を用いた確実な摘出治療法まで、詳細かつ具体的にご紹介します。
この記事を最後まで読んでいただくことで、アニサキス症に関する正しい知識を完全に網羅でき、万が一発症してしまった場合でも慌てず迅速に対応できるようになります。
また、日頃から魚介類を安心して楽しむための具体的な予防策も身につけられます。
生の魚介類を食べる機会が多い方、食後の体調不良に不安を感じている方、胃や大腸の内視鏡検査に関心のある方はぜひ最後まで読んでみてください!
目次
1. 「アニサキス」とは?その正体と感染メカニズム
アニサキス症の予防と治療法を知るためには、まずアニサキスが一体どのような生物なのかを理解することが重要です。
アニサキスは、魚介類を介して人間に感染する寄生虫の一種で、その幼虫が人間の体内で悪さをします。
アニサキスの幼虫:危険な寄生虫の基礎知識
アニサキスは、クジラやイルカといった海洋哺乳類を最終宿主とする線虫(寄生虫)です。私たちが問題とするのは、その体長2〜3cm、幅0.5〜1mmほどの白い糸状の幼虫です。
この幼虫は、サバ、サケ、イカ、アジ、タラなどの魚介類の内臓や筋肉に寄生しています。幼虫は、魚が生きている間は内臓にいますが、魚が死んでしまうと鮮度低下とともに筋肉中に移動する性質があるため、刺身や寿司として提供される筋肉部分から感染することが多いのです。
このアニサキスの幼虫を誤って生きたまま食べてしまうことが、食中毒の原因となります。
アニサキスに感染する原因となる魚介類と食中毒のメカニズム
アニサキス症の主な感染源となる魚介類は多岐にわたりますが、特にサバ、カツオ、サケ(サーモン)、イカ、アジが五大感染源として知られています。
例えば、札幌の市場でも人気の高い新鮮なサケやイカには、高確率でアニサキスの幼虫が潜んでいる可能性があります。人間がこれらの魚介類を刺身や寿司、またはしめ鯖のように加熱が不十分な状態で摂取すると、生きたアニサキス幼虫が体内に侵入します。
幼虫は胃や腸の粘膜に潜り込もうとしますが、人間はアニサキスの本来の宿主ではないため、幼虫はその場で「もがく」動作をします。この粘膜への侵入と刺激によって、数時間後に激しいアレルギー反応や痛みが発症するのがアニサキス食中毒のメカニズムです。
2. 激しい腹痛に注意!アニサキス症の主な症状と発症時間
アニサキス症の症状は、幼虫が胃と大腸のどちらに潜り込むかによって異なりますが、共通して言えるのは痛みが非常に激しいという点です。
症状を正しく理解し、迅速に医療機関を受診することが、痛みを早く取り除く鍵となります。
アニサキス症の代表的な症状:胃アニサキス症の場合
胃アニサキス症は、最も一般的なアニサキス症の形態です。症状は生の魚介類を食べてから通常4〜8時間後という比較的早期に現れます。具体的な症状としては、みぞおち付近の差し込むような激しい腹痛、吐き気、嘔吐が挙げられます。
この痛みはあまりにも激しいため、「胃潰瘍の痛みかと思った」「冷や汗が出るほどの激痛だった」と表現される患者様が多数いらっしゃいます。内視鏡検査を行うと、胃の粘膜に幼虫が頭を突っ込んでいる様子がはっきりと観察されます。この胃粘膜への物理的な刺激と、体のアレルギー反応が激痛の正体です。
発見が遅れることもあるアニサキス症の症状:腸アニサキス症の場合
胃を通過したアニサキスの幼虫が小腸や大腸の粘膜に潜り込んだ場合、腸アニサキス症を発症します。これは胃アニサキス症に比べて頻度は少ないですが、症状の発現が遅れることが特徴です。
感染から10数時間後、あるいは数日後に腹痛や腹部の張り、嘔吐などの症状が現れます。腸の粘膜に幼虫が侵入することで、腸壁に炎症を起こし、まれに腸閉塞や腸穿孔といった重篤な合併症を引き起こす危険性があります。そのため、魚介類摂取後に激しい下腹部の痛みを感じたら、数日経っていても消化器内科を受診することが重要です。
3. アニサキス症の確実な診断と内視鏡による治療のメリット
アニサキス症は自然に治ることもありますが、激痛を速やかに取り除くためには、消化器内科での**内視鏡(胃カメラ)**による治療が最も確実で迅速な方法です。当院のような内視鏡専門クリニックの強みは、この確実な治療法を苦痛なく提供できる点にあります。
アニサキス症の検査:内視鏡(胃カメラ)の重要性
アニサキス症の診断は、主に患者様から魚介類の生食歴を聞き取ることと、内視鏡検査によって幼虫を直接確認することで行われます。レントゲンや超音波検査で診断できることもありますが、最も確実なのは胃カメラです。胃カメラを挿入すると、胃の粘膜に食いついているアニサキスの幼虫が肉眼ではっきりと確認できます。
私自身、以前に夜中に激痛を訴えて来院された患者様の胃を胃カメラで確認したところ、2匹のアニサキスが粘膜に食い込んでいたのを見た実体験があります。内視鏡を使うことで、痛みの原因であるアニサキスを特定し、その場で治療へと移行することが可能です。
内視鏡によるアニサキス摘出治療の 4 つのメリット
アニサキス症の治療において、内視鏡を用いた摘出術は圧倒的なメリットがあります。第一に、痛みの即時解消が挙げられます。
幼虫を内視鏡で摘出した直後から、長引いていた激しい痛みが劇的に改善し、多くの患者様は数分で笑顔を取り戻されます。
第二に、確実な病因の除去です。内視鏡の鉗子を使ってアニサキスを物理的に除去するため、原因物質が体内に残る心配が一切ありません。
第三に、身体への負担が極めて少ないことです。内視鏡は口から挿入するだけであり、メスを使う外科手術とは異なり、入院の必要もなく日帰りで治療を完了できます。
第四に、腸閉塞のリスク回避です。幼虫が胃から腸へ移動する前に除去できるため、腸アニサキス症による腸閉塞などの重篤な合併症を未然に防ぐことができます。
内視鏡治療のデメリット:鎮静剤の使用や費用について
内視鏡によるアニサキス摘出治療は非常に優れた方法ですが、いくつかのデメリットも存在します。
まず、鎮静剤(麻酔)を使用した場合は、検査後も薬の効果が残るため、当日の自動車・バイク・自転車の運転は厳禁となります。
当院では安全性を最優先していますので、公共交通機関での来院をお願いしています。
次に、内視鏡検査特有の不快感が挙げられます。当院では苦痛の少ない内視鏡検査を心掛けていますが、鎮静剤を使わない場合は、少なからずのどや胃に違和感を覚える可能性があります。
三つ目に、費用についてです。アニサキス症の治療は保険適用となりますが、治療費や検査費として数千円から1万円程度の自己負担額が発生します。
四つ目に、アニサキスが胃以外にいる場合は、胃カメラでは摘出できません。腸アニサキス症の場合は、内視鏡での摘出が難しく、対症療法で経過観察となるか、状況によっては外科手術が必要となる場合があります。治療を受ける前に、医師としっかりと相談することが大切です。
4. 自宅でできる!アニサキス食中毒を予防するための具体的な対策
激しい腹痛を伴うアニサキス症は、正しい知識をもって予防することで、そのリスクを大幅に減らすことができます。ご家庭で簡単に実践できるアニサキス対策を具体的にご紹介します。
アニサキスを死滅させる加熱・冷凍処理の適切な温度と時間
アニサキスの幼虫を死滅させるための最も確実な方法は、加熱または冷凍による処理です。
まず、加熱処理については、食品の中心温度を60℃以上にして1分間加熱することが有効です。魚を焼いたり、煮たり、十分に火を通すことが重要です。
次に、冷凍処理については、-20℃以下の環境で24時間以上冷凍することが推奨されています。市販の冷凍庫の多くは-20℃以下の設定が可能であるため、刺身で食べる予定の魚介類をあらかじめ冷凍する対策も非常に有効です。
ただし、家庭用の冷凍庫では設定温度に注意が必要です。アニサキスは酸に強いため、一般的な食酢(お酢)や塩漬け、ワサビを大量に使用しても死滅させることはできません。これらの調味料はあくまで風味付けや殺菌効果の一部であり、予防策としては頼りにならないことを理解してください。
生食を避けるのが難しい場合の実践的なアニサキス対策
「刺身や寿司は新鮮な状態で食べたい」という方も多いでしょう。
生食を完全に避けるのが難しい場合でも、以下のような実践的なアニサキス対策が有効です。一つ目は、内臓をすぐに除去することです。
釣り上げた魚や購入した魚は、時間が経過すると内臓にいたアニサキスが筋肉へ移動するため、できるだけ早く内臓を取り除いてください。
二つ目は、魚の身をよく観察することです。魚の切り身の中にアニサキスの幼虫(白い糸状の塊)がいないか、目視で丁寧に確認し、発見した場合は取り除いてください。
三つ目は、よく噛んで食べることです。アニサキスは生きたまま飲み込むことで感染します。よく噛むことでアニサキスを物理的に破壊できるため、生魚を食べる際は一口ずつ丁寧に噛むことを意識してください。これらの対策を組み合わせることで、アニサキス症のリスクを最小限に抑えられます。
まとめ
アニサキス症は、生の魚介類を食べることで感染する食中毒であり、激しい腹痛や吐き気を引き起こします。
主な症状は魚介類摂取から数時間後に現れることが多く、特に胃アニサキス症が一般的です。予防のためには、魚の中心部を60℃で1分以上の加熱、または-20℃で24時間以上の冷凍処理が極めて重要です。
万が一、激しい腹痛に襲われた場合は、内視鏡(胃カメラ)による迅速な診断と摘出治療が最も確実です。
当院のような大腸カメラ検査を得意とするクリニックでは、鎮静剤を用いた苦痛の少ない内視鏡検査を提供しており、アニサキスをその場で除去し、激痛を即座に解消することが可能です。
新鮮な魚介類が手に入りやすい札幌という土地柄だからこそ、内視鏡による確実な治療体制を整えておくことが大切です。
本記事をお読みいただきありがとうございます。何かご不明な点や、お悩みがございましたら、札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックまでお気軽にご相談ください。